ウィリー・ウッド

ウィリー・ウッド：フットボール界のパイオニア

ウィリー・ウッド（William Vernell Wood, 1936年12月23日 - 2020年2月3日）は、ワシントンD.C.出身のアメリカンフットボール選手でした。NFLのグリーンベイ・パッカーズでフリーセイフティとして名を馳せ、その卓越した才能とリーダーシップでチームを数々の勝利に導きました。

学生時代

ウッドはUSC（南カリフォルニア大学）時代、クォーターバックとして活躍。当時、パシフィック・テン・カンファレンス初の黒人QBとして注目を集めました。大学卒業後、NFLドラフトでの指名はなかったものの、パッカーズのトライアウトに合格し、フリーエージェントとして入団を果たします。

NFLでの活躍

1961年、2年目にして先発フリーセイフティの座を獲得。以降、1971年の引退までその座を守り続けました。リーグを代表するフリーセイフティとして、1962年から1970年まで9年連続でオールNFLに選出。プロボウルには8回出場（1963年、1965年 - 1971年）、NFLチャンピオンシップゲームには6回出場し、うち5回で優勝を経験しました。

第1回スーパーボウルでは、第3クォーターの初めにレン・ドーソンのパスをインターセプトし、50ヤードをリターン。第2回スーパーボウルでは、パントリターン5回で35ヤードを獲得し、そのうち31ヤードのパントリターンは、第18回スーパーボウルでダレル・グリーンが34ヤードをリターンするまで、スーパーボウル記録として保持されていました。

現役12年間で、通算48インターセプト（1962年にはリーグトップの9個を記録）、699ヤードをリターンして2タッチダウンをあげています。また、187回のパントリターンで1,391ヤードを獲得（1961年にはリーグトップの平均16.1ヤードを記録）、2タッチダウンを記録しました。

引退後

引退後、1973年にはワールド・フットボール・リーグのフィラデルフィア・ベルのヘッドコーチに就任。これは、戦後プロフットボール史上初のアフリカ系アメリカ人ヘッドコーチという快挙でした。1980年には、カナディアン・フットボール・リーグのトロント・アルゴノーツのヘッドコーチにも就任し、こちらもCFL初のアフリカ系アメリカ人ヘッドコーチとなりました。

1989年には、その輝かしい功績が認められ、プロフットボール殿堂入りを果たしています。

私生活と晩年

息子のウィリー・ジュニアもフットボール選手として活躍。現在はクリーブランド・グラディエイターズでコーチを務めています。

晩年は、現役時代の怪我や認知症、痴呆症に苦しみ、介護施設で車椅子での生活を送っていました。NFLからの年金だけでは医療費を賄いきれず、支援を求める声も上がっていました。彼の状況は、多くの元NFL選手が直面する問題を示唆しています。

2020年2月3日、ワシントンD.C.の介護施設で死去。83歳でした。

ウィリー・ウッドは、その卓越した才能とパイオニア精神で、アメリカンフットボール界に多大な影響を与えました。彼の名は、これからも語り継がれることでしょう。

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