ウィレム・フルステーヘン

ウィレム・フルステーヘン：激動の時代を生きたオランダ商館長

ウィレム・フルステーヘン（Willem Verstegen, 1612年頃 - 1659年）は、17世紀にオランダ東インド会社に勤務し、出島のオランダ商館長を務めた人物です。彼は、日本とオランダの関係が大きく変化する時代に、重要な役割を担いました。

日本との関わり

フルステーヘンは、1632年に平戸のオランダ商館に勤務することになり、日本での生活を始めました。その後、長崎に移り住むと、そこでメルキオール・ファン・サントフォールトというオランダ人と出会います。サントフォールトは日本人の女性と結婚しており、その娘であるスザンナに、フルステーヘンは結婚を申し込みました。

1635年には、フルステーヘンは日本近海に金銀島があるという情報を得て、オランダ東インド会社に報告しています。この報告に基づき、2度の探検隊が派遣されましたが、いずれも発見には至りませんでした。2度目の探検隊は、航路を失い盛岡藩に寄港したブレスケンス号事件を引き起こしています。

1639年には、日本人妻とその子どもの国外退去命令が出されたため、フルステーヘンはスザンナと台湾で結婚しました。

出島商館長として

1646年、フルステーヘンは出島の商館長に任命されました。商館長として江戸に参府した際には、徳川家光と家綱に拝謁し、ラクダやジャコウネコなどの珍しい献上品を贈っています。参府中の日記には、当時の日本の様子が詳細に記録されています。

また、商館長在任中には、長崎沖にポルトガル船が来航するという事件も発生しました。フルステーヘンは、ポルトガル船の来航がオランダ船よりも早かったため、幕府に最新情報を伝えることができず、叱責を受けることになりました。この一件は、当時の国際情勢と、日本が抱える外交上の課題を浮き彫りにしています。

1647年、フルステーヘンは商館長を辞任し、日本を去りました。

その後

日本を離れたフルステーヘンは、ベトナムのトンキンへの検査官に任命されたり、台湾に滞在したりするなど、東インド各地で活動しました。その後、オランダに戻りますが、再びインドへ渡り、1659年、アフマダーバード近郊の戦いで戦死しました。

激動の時代を生きた人物

ウィレム・フルステーヘンは、17世紀の激動の時代を、東インド会社の一員として生きた人物です。彼は、日本の鎖国政策が強化される時期に、オランダ商館長として重要な役割を果たしました。彼の生涯は、当時の国際情勢や、日本とオランダの関係を考える上で、貴重な資料となっています。

関連項目

マルチン・ゲルリッツエン・フリース - 1643年の金銀島探検の隊長。

参考

日本関係海外史料 オランダ商館長日記 訳文編之十 東京大学史料編纂所

もう一度検索