ウィンダム・ヒル・レコード

ウィンダム・ヒル・レコード（Windham Hill Records）は、1976年にギタリストのウィリアム・アッカーマンと、当時彼の妻であったアン・ロビンソンによってカリフォルニア州で創設されたアメリカのレコードレーベルです。ウィンダム・ヒル・グループ全体の中心的な存在として活動してきました。

当初、アッカーマン自身が手がけるフォーク・ミュージック作品を発表するためのプラットフォームとしてスタートしましたが、活動が進むにつれてその音楽性は多様化していきます。特に、初期には自然や風景にインスパイアされた、いわゆる「自然回帰」の趣を持つインストゥルメンタル作品を多く手がけました。この方向性が、1980年代に隆盛を極めるニューエイジ・ミュージック・シーンにおいて、ウィンダム・ヒルを代表的な存在へと押し上げることになります。ジョージ・ウィンストンをはじめとするレーベル所属アーティストたちの活躍は、当時のニューエイジ・ブームを牽引する重要な役割を果たしました。ジョージ・ウィンストンは、自身のレーベル「ダンシング・キャット・レコード」もウィンダム・ヒル内で運営していました。

過去にはジャズに特化した部門「ウィンダム・ヒル・ジャズ」も存在していましたが、現在は閉鎖されています。このジャズ部門からは、ギタリストのラス・フリーマンが設立したピーク・レコードもリリースを行っていましたが、ウィンダム・ヒル・ジャズの閉鎖に伴い、ピーク・レコードはコンコード・ミュージック・グループへと移籍しています。現在のウィンダム・ヒルは、クラシックやジャズといったジャンルを含む、幅広いインストゥルメンタル音楽のリリースを中心に活動しています。

日本においては、1980年代にはアルファレコード、その後旧キャニオン・レコード（現在のポニーキャニオン）がCDなどの媒体の販売を手がけました。1990年代には、自然音とニューエイジ・ミュージックを専門に扱う衛星放送局「セント・ギガ」が開局し、ウィンダム・ヒル・レコードの作品が数多く放送され、日本のリスナーにもその音楽が広く紹介される機会となりました。

レーベルの経営体制は時代と共に変化してきました。1982年にはA&Mレコードと作品の流通・販売に関する分配契約を結びますが、1989年にA&Mがポリグラムに売却されたことに伴いこの契約は終了します。その後、1992年にはウィンダム・ヒル自体がBMGに売却され、RCAビクターの系列下に入りました。しかし、2007年にはBMGがソニー・ミュージックに完全に吸収合併されたため、BMGは消滅し、以降ウィンダム・ヒルはソニー・ミュージックの子会社として運営されています。日本国内盤の販売は、現在ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル内のRCA/JIVEグループ|RCA_JIVEグループが担当しています。

ウィンダム・ヒル・レコードは、その歴史を通じて多様なアーティストの作品をリリースしてきました。代表的なアーティストとしては、ジョージ・ウィンストンのほか、ウィリアム・アッカーマン自身、アレックス・デ・グラッシ、リズ・ストーリー、マイケル・ヘッジス、マーク・アイシャムなどが挙げられます。また、ウィンダム・ヒル・ジャズ部門には、アール・クルー、スパイロ・ジャイラ（ジェイ・ベッケンスタイン）、タック&パティ、ザ・リッピントンズといった著名なミュージシャンも名を連ねていました。

その透明感あふれるサウンドと美しい音楽性で、ウィンダム・ヒル・レコードは多くのリスナーに愛され、特にニューエイジ・ミュージックというジャンルにおいて独自の地位を確立しました。親会社の変遷を経ながらも、インストゥルメンタル音楽の質の高い作品を発信し続けています。

沿革

1976年：ウィリアム・アッカーマンとアン・ロビンソンにより創設。
1982年：A&Mレコードと販売契約を締結。
1989年：A&Mのポリグラムへの売却に伴い契約を解消。
1992年：BMGに売却され、RCAビクターの系列となる。
2007年：BMGがソニー・ミュージックに吸収合併され、ソニー・ミュージックの子会社となる。

主なアーティスト

ウィリアム・アッカーマン
ジョージ・ウィンストン
リズ・ストーリー
マイケル・ヘッジス
マーク・アイシャム
アール・クルー（ウィンダム・ヒル・ジャズ）
スパイロ・ジャイラ（ウィンダム・ヒル・ジャズ）
タック&パティ（ウィンダム・ヒル・ジャズ）

関連項目

ソニー・ミュージック
BMG
RCAビクター

外部リンク

* BMG

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