アール・クルー

アール・クルー：ナイロン弦の旋律を奏でるジャズ・ギタリスト

アール・クルー（Earl Klugh）は、1953年9月16日、アメリカ・ミシガン州デトロイトで生まれました。彼はジャズ、フュージョン界を代表するギタリストとして知られています。彼の音楽は、アコースティックギター、特にナイロン弦ギターを主体とした、その独自なスタイルで多くのファンを魅了してきました。

若き才能の開花

クルーがギターを始めたのは10歳の時。早くも17歳でユセフ・ラティーフ、18歳でジョージ・ベンソンのレコーディングに参加、さらにツアーにも同行するなど、その才能は早くから開花しました。20歳の時には、チック・コリア率いるリターン・トゥ・フォーエヴァーに加入し、エレクトリック・[[ギター]]にも挑戦しますが、家族の事情とアコースティック・[[ギター]]への強い思いから、短期間で脱退します。

GRPとの出会いとソロ・デビュー

その後、クルーはGRPの創設者であるデイヴ・グルーシンに見出され、1976年にブルーノート/キャピトル・レコードからファースト・アルバム『アール・クルー』を発表。当時としては珍しい、アコースティック・[[ギター]]をメインにしたこのアルバムは、彼の音楽キャリアの幕開けを告げるものでした。以降、デトロイトを拠点に、アコースティックを主体とした独自のスタイルを追求し続けています。

グラミー賞受賞と数々の共演

1979年には、ボブ・ジェームスとの共演作『ワン・オン・ワン』を発表。このアルバムは1981年にグラミー賞ベスト・ポップ・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞を受賞し、クルーの名を広く知らしめることとなりました。その後も、ワーナー・ブラザース・レコードへの移籍を経て、ジョージ・ベンソンとの共作アルバム『コラボレーション』や、ボブ・ジェームスとの再共演作『クール』など、精力的にアルバムをリリースしています。

1999年にはウィンダム・ヒル・ジャズへ移籍し、ロバータ・フラックをゲストに迎えた『ピキュリア・シチュエーション』を発表。2005年にはKoch Recordsからギター・ソロ・アルバム『Naked Guitar』をリリースし、自身の楽曲「Angelina」をセルフ・カバーしています。2008年には、フル・グループによるオリジナル・アルバムとしては8年ぶりとなる『The Spice of Life』を発表、2013年にはヘッズ・アップからアルバム『ハンド・ピックド』を発表しています。

独自の演奏スタイル

クルーは、敬愛するギタリストとしてチェット・アトキンスの名を挙げています。彼の演奏スタイルは、サムピックを使わずに指の爪で弾くチェット・アトキンスの奏法に影響を受けていますが、音色はより独特で、美しいハーモニーを奏でるコード・ヴォイシング、メロディラインとベースラインを両立させる演奏技術により、ギター1本でピアノのような多彩な表現を可能にしています。

また、クルーはギターを始める前はピアノを習っており、レコーディングでキーボードを演奏することもあります。ビル・エヴァンスを尊敬するアーティストとしており、「目指す音楽はビル・エヴァンスが奏でるピアノ曲のようなものである」と語るように、彼の音楽にはピアノ的な要素も感じられます。ジョージ・ベンソンを師と仰ぎ、ビバップ的なインプロヴィゼーションの才能も持ち合わせています。

アール・クルーの音楽は、アコースティック・[[ギター]]の温かい音色と、ジャズ、フュージョンの洗練されたハーモニーが融合した、心地よいサウンドです。彼の数々のソロ・アルバムは、その音楽性の集大成と言えるでしょう。

ディスコグラフィー（一部）

アール・クルー (1976)
ワン・オン・ワン (1979) - ボブ・ジェームスとの共演
ソーダ・ファウンテン・シャッフル (1985)
コラボレーション (1987) - ジョージ・ベンソンとの共演
ネイキッド・ギター (2005)
ハンド・ピックド (2013)

アール・クルーは、その卓越したギターテクニックと、ジャンルを超えた音楽性で、これからも多くの人々を魅了し続けるでしょう。

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