ウィークエンド・シャッフル (小説)

映画『ウィークエンド・シャッフル』詳細解説

概要

『ウィークエンド・シャッフル』は、筒井康隆による同名の短編小説を原作とした1982年公開の日本映画です。監督は、日活ロマンポルノで活躍した中村幻児。秋吉久美子を主演に迎え、泉谷しげる、池波志乃など個性的なキャストが脇を固めます。不条理でナンセンスな世界観が特徴で、コメディでありながら、人間の狂気や社会の歪みを浮き彫りにする作品として評価されています。

ストーリー

物語は、ある週末、一軒の家を舞台に展開します。そこに住む夫婦と、彼らの周囲に集まる人々が織りなす日常は、次第に狂気を帯びていきます。登場人物たちは、それぞれの欲望や衝動をむき出しにし、予測不能な行動を繰り返します。物語は、現実と虚構の境界が曖昧になる中で、観る者を不穏な感覚へと誘います。

映画化

制作の経緯

当初、ATGとの提携製作として企画が進行していましたが、意見の相違により頓挫。その後、中村幻児監督の会社と渡辺正憲プロデューサーによる自主製作として見切り発車されました。資金難の中、ジョイパックフィルムに持ち込み、最終的には東宝が配給することになりました。ピンク映画出身の中村監督にとって、本作は一般映画進出の第一歩であり、その異色な作風が注目されました。

キャスティング

ヒロインには、当時人気絶頂だった秋吉久美子が抜擢されました。彼女は、狂気を抱える妻を見事に演じ、新境地を開拓しました。共演には、泉谷しげる、池波志乃など、個性的な面々が集結。特に、渡辺えりにとっては映画デビュー作となりました。また、松田優作がキャスティングされていた役は、泉谷しげるに変更となりましたが、後に松田が映画を観て「俺がやりたかった！」と言ったエピソードが残っています。

撮影

撮影は、長回しを多用する当時の日本映画とは対照的に、カッティングを多用したスタイルで行われました。現場では、役者たちが自由にアイデアを出し合い、アドリブも積極的に採用されました。その結果、台本は現場で大きく変更され、映画は独特の臨場感と生々しさを獲得しました。撮影は、千葉県市川市の洋館を借りて行われましたが、近所からは苦情が相次ぎました。

音楽

音楽は、ジャズピアニストの山下洋輔が担当しました。また、主題歌にはジューシィ・フルーツの「夢見るシェルター人形」が使用され、セルジュ・ゲンスブールが作曲を担当したことでも話題を呼びました。

作品の評価

原作者のコメント

原作者の筒井康隆は、映画化にあたって特に助言はしなかったと述べています。また、自身の作品の映画化については、「ヘミングウェイも言っています。『映画化された自分の作品を本心から気に入っている作家など、恐らくひとりもいないだろう』と」と、原作と映画は別物であるという考えを示唆しています。

批評家の評価

映画評論家の松田政男は、「筒井SF以上に筒井SF」的であると評し、モルモット吉田は、戦前の日本映画の「ガイキチ・エンターテインメント」の系譜を受け継ぐ作品であると評価しました。特に、秋吉久美子の演技は、従来のイメージを覆すものであったと評されています。

キャスト

秋吉久美子
泉谷しげる
池波志乃
美保純
渡辺えり子
秋川リサ
伊武雅刀
新井康弘
村上不二夫
尾口康生
永井英里
野上正義
芦川誠
春風亭小朝
風間舞子

スタッフ

監督：中村幻児
脚本：中村幻児、吉本昌弘
原作：筒井康隆
製作：渡辺正憲
撮影：鈴木史郎
音楽：山下洋輔

DVD

2020年10月2日にハピネットからDVDが発売されました。

外部リンク

ウィークエンド・シャッフル - KINENOTE
* ウィークエンド・シャッフル - allcinema

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