ウィーンの行政区

ウィーンの行政区

ウィーンは、23の行政区（ドイツ語: Gemeindebezirk）から成り立っています。各区は「インネレシュタット」「レオポルトシュタット」といった固有の名称を持ち、番号（1区、2区など）でも呼ばれます。区番号は、通りの標識や郵便番号にも使用され、例えば郵便番号「1080」は8区、「1200」は20区を示します。

歴史

ウィーンの行政区は、歴史的な変遷を経て現在の形になりました。

初期: 元々は、城壁で囲まれたインネレシュタット（1区）がウィーンの中心でした。
15世紀以降: 城壁外への移住が進みましたが、16世紀のウィーン包囲で周辺の町は焼き払われました。
1850年: ウィーン市域と周辺の34の町が合併し、城壁が取り壊されました。旧周辺町は2区から8区に分割され、後に10区が新設されました。
1892年: 周辺の郊外村が11区から19区としてウィーンに合併。
20世紀: 20区と21区がそれぞれ2区とフローリツドルフから分離・編入されました。
ナチス時代: 1938年のナチス・ドイツによるオーストリア併合後、周辺地域が編入され、ウィーンは一時的に「大ウィーン」となりましたが、第二次世界大戦後にその多くがニーダーエスターライヒ州に戻されました。
1954年: 現在の市域が確定しました。

区の構成

歴史的な経緯から、1区から9区と20区は「市内区」、それ以外の区は「市外区」と呼ばれます。

1区（インネレシュタット）: 居住人口は少ないですが、観光地や商業の中心として労働人口が最も多い区です。
22区（ドナウシュタット）: 面積が最も広く、居住人口は2番目に多い区です。
13区（ヒーツィング）: 人口密度が最も低い区です。
8区（ヨーゼフシュタット）: 面積が最も小さいですが、人口密度は高い区です。
5区（マルガレーテン）: 人口密度が最も高い区です。

ウィーンの各区は、かつての周辺町や郊外村が合併してできたため、地域ごとに独特の雰囲気を持つ「グレッツル」と呼ばれる近隣住区が存在します。

政治

区の代表である区長は、選挙で最も票を集めた政党から選出されます。区長の下には2人の副区長がおり、それぞれ第1党と第2党から選ばれます。EU市民であれば、ウィーン市内に住所があれば区長選挙への投票権があります。

まとめ

ウィーンの行政区は、歴史的な変遷を経て現在の形になり、それぞれが独自の個性を持っています。区の名前や番号、グレッツルの存在は、ウィーンの街をより深く理解するための手がかりとなるでしょう。

参考文献

Felix Czeike (Hrsg.): Historisches Lexikon Wien in fünf Bänden, Kremayr & Scheriau, Wien 1992 - 1997
Peter Diem; Michael Göbl; Eva Saibel: Die Wiener Bezirke. Ihre Geschichte, ihre Persönlichkeit, ihre Wappen. Perlen Reihe, Wien (2002).

関連項目

ウィーンの歴史

外部リンク

ウィーン市公式サイト

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