近隣住区

近隣住区（Neighborhood Unit）

近隣住区とは、計画的に設計された住宅地の一単位です。この概念は20世紀に広がった田園[[都市]]構想の一部であり、ニュータウンの設計にも大きな影響を与えました。基本的に、幹線道路によって区切られた小学校区を一つのコミュニティとして捉え、商業施設やレクリエーションの場が戦略的に配置されています。英語では「ネイバーフッド」と呼ばれています。

このアイデアは、1924年にアメリカの社会運動家であり教育者であるクラレンス・ペリーによって「近隣住区論」という形で初めて提唱されました。近隣住区のサイズは幹線道路に囲まれた地域で、通常は約64ヘクタール（半径400メートルほど）で、その中にはおよそ5000から6000人の住民が暮らすことが想定されています。この範囲内には、住民が利用できる小学校、教会、コミュニティセンター、公園などの公共施設が整備され、商業施設は主に幹線道路沿いに配置されています。

通過交通が住区に入り込むのを防ぐために、その設計では道路をわざと曲げたり視界を悪くしたりする工夫が施されています。これにより住民は、安全に、そして便利に日常生活を送ることができます。近隣住区は人々が歩いて移動できる範囲で生活が完結することを目指しており、より人間的なスケールの空間を提供することを意義としています。

また、近隣住区の設計理念は、都市の無関心や匿名性といったデメリットを克服し、地域コミュニティを育成することを目的としています。

実践例と影響

近隣住区の実際の例としては、1929年以降に開発されたラドバーン（ニュージャージー州）が挙げられます。この地域では、歩行者と車両の動線を徹底的に分離し、通過交通が入らないように設計されています。具体的には住区内の道路がクルドサック（袋小路）方式で整備されており、住民は緑道を通って学校や商店に安全にアクセスすることができます（この方法は「ラドバーンシステム」と呼ばれています）。

近隣住区の概念は、アメリカの郊外住宅地開発のみならず、イギリスのニュータウン建設や都市再開発、日本における都市計画理論や実際のニュータウンの設計にも影響を与えています。特に日本においては、国土交通省が策定した「都市計画運用指針」において、郊外の新市街地における道路配置計画について近隣住区を囲む主要幹線道路や都市幹線道路を配置することが理想とされています。

関連資料

近隣住区に関する詳しい文献として、クラレンス・ペリーの著作『近隣住区論――新しいコミュニティ計画のために』（1975年、鹿島出版会）があります。この書籍では、近隣住区の概念がどのようにして形成されたのか、そしてそれが現代の都市計画にどのように寄与しているのかが明らかにされています。

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