ウェス・ウェルカー

ウェス・ウェルカー：ドラフト外からNFLを代表するレシーバーへ

ウェス・ウェルカー（Wesley Carter "Wes" Welker、1981年5月1日 - ）は、アメリカ合衆国オクラホマ州オクラホマシティ出身の元アメリカンフットボール選手、そして現在はコーチとして活躍しています。現役時代はワイドレシーバー（WR）として、その卓越した技術とプレースタイルでNFLを席巻しました。現在は、マイアミ・ドルフィンズでワイドレシーバーコーチを務めています。

カルビン・ジョンソンやラリー・フィッツジェラルドといった名だたる選手たちと並び、2012年当時ウェルカーはNFLを代表するWRの一人として広く認知されていました。NFLドラフトで指名を受けなかった選手としては異例の成功を収めた人物であり、マイアミ・ドルフィンズ在籍時の3年間で記録したオールパーパスヤード数を超える成績を残した選手は、シカゴ・ベアーズの伝説的ランニングバック、ゲイル・セイヤーズのみです。

2007年にはT・J・フーシュマンザーデと並び、2009年と2011年にはNFL単独トップのパスキャッチ数を記録。2007年にニューイングランド・ペイトリオッツへ移籍してからは、5シーズン中4シーズンでチームトップのレシーブ数を誇りました。さらに、レシーブ獲得ヤードのチーム記録保持者でもあります。3シーズン連続で110レシーブ以上を記録した選手は、NFL史上ウェルカー以外に存在しません。ペイトリオッツ移籍後は、毎年プロボウルまたはオールプロ、あるいはその両方に選出されるなど、輝かしい実績を残しました。

2012年には、NFLが選ぶトップ100選手の23位にランクイン。身長175cmと小柄ながらも、ルートランニングやパスキャッチに優れ、ショートパスのターゲットとしてその才能をいかんなく発揮しました。

プロ入りまでの道のり

少年時代はサッカーに熱中していましたが、高校でフットボールを始めます。当時のクォーターバック（QB）は、後にシンガーソングライターとなるグラハム・コルトンで、ウェルカーとは家族ぐるみの親友でした。大柄で強肩のコルトンからボールを受け、ハンドオフやパスキャッチ、さらにはリターナーやディフェンスバックとしてもプレーしました。

高校2年次には、1,228ヤードを走り、62キャッチで37タッチダウン（TD）を記録。フィールドゴール（FG）は10本中8本を成功させ、10インターセプトを記録するなど、目覚ましい活躍でチームを15戦全勝、オクラホマ州の2A選手権へと導きました。選手権では、3TD、200ヤード獲得、47ヤードのFG成功、1インターセプトを記録する圧巻のパフォーマンスを見せました。1999年には、地元紙「The Daily Oklahoman」によりオールステートプレイヤーに、USAトゥデイからは州の最優秀選手に選ばれました。

2000年のオイルボウルでは40ヤードのFGを成功させました。高校通算では、ランニングバックとして80TD（ラン53、レシーブ27）、ディフェンスバックとして22インターセプト、3TD、9ファンブルリカバー、パントリターナーとして7TDを記録。さらに、キッカーとして35FGを成功させ、エクストラポイントは165回成功させました。高校時代に決めた最長FGは57ヤードで、これはペイトリオッツのキッカー、スティーブン・ゴストコウスキーの最長記録を上回るものでした。

高校卒業時、小柄で俊足でもなかったウェルカーは、カレッジフットボールでプレーするには小さすぎると見なされ、奨学金のオファーはほとんどありませんでした。しかし、テキサス工科大学からようやくオファーを受け、進学を決意します。

大学では、4年間で259回のレシーブで3,019ヤード、21TD、ラン79回で456ヤード、2TDを記録。さらに、パントリターンで1,761ヤード、NCAA記録となる8TDを記録しました。2003年には、スペシャルチーム最高の選手に贈られるモジー・タップ賞を受賞しました。

NFLでのキャリア

2004年のNFLドラフトでは、ドラフトコンバインに招待されず、ドラフト前はシカゴ・ベアーズのみが興味を示していました。しかし、ドラフト当日どのチームからも指名されず、サンディエゴ・チャージャーズとドラフト外で契約。開幕ロースターには残ったものの、第1週終了後の9月15日にクリントン・ハートをロースターに入れるため解雇されました。後に当時のチャージャーズヘッドコーチ、マーティ・ショッテンハイマーは、ウェルカーをカットしたことが大きな過ちであったと認めています。

2004年9月21日、マイアミ・ドルフィンズと契約し、主にスペシャルチームで起用されました。2004年10月10日のペイトリオッツ戦では、オリンド・メアが負傷したため、キックリターン、パントリターン、エクストラポイント、フィールドゴール、キックオフを1試合で行うという、史上2番目の選手となりました。12月20日のペイトリオッツ戦では、71ヤードのパントリターンTDを決め、1月2日のシンシナティ・ベンガルズ戦では95ヤードのキックオフリターンTDを決めました。

2005年のトレーニングキャンプでは、クリス・チェンバース、マーティ・ブッカーに次ぐ第3のWRとされました。29レシーブ、434ヤードを記録しましたが、TDレシーブはあげられませんでした。この年、パントリターンではNFL11位の平均9.1ヤード、キックオフリターンでは平均22.6ヤードを記録しました。

2006年のプレシーズンには、チームからカットされるのではないかと噂されましたが、レギュラーシーズンが始まると最初の5試合でチームトップとなる29回のキャッチで299ヤードを獲得しました。10月8日の試合では、控えQBジョーイ・ハリントンから自身最多となる9回のレシーブで77ヤードを獲得しましたが、チームは10-20で敗れました。このシーズン、チーム最多の67キャッチ、687ヤード、1タッチダウンを記録。また、キックオフリターンで平均22.2ヤード、パントリターンで平均9.2ヤード、1TDを記録しました。

2007年3月1日、制限つきフリーエージェントとなっていたウェルカーは、ドラフト2巡指名選手の最低年俸である1年130万ドルのオファーを受けましたが、サインせず、ドラフト2巡目と7巡目指名権と引き換えにドルフィンズからペイトリオッツへトレードされ、ペイトリオッツと5年間1,810万ドル（サインボーナス900万ドルを含む）の契約を結びました。

2004年からの3シーズンでの成績は、先発3試合を含む47試合に出場、96キャッチで1,121ヤード、1TD、キックオフリターン170回で平均22.7ヤード、パントリターン170回で平均9.7ヤード、1TDでした。

ニューヨーク・ジェッツとの開幕戦で75ヤードのTDレシーブをあげ、第6週のダラス・カウボーイズ戦では、いずれも自己ベストとなる11回のキャッチで124ヤード、2TD、第7週のマイアミ・ドルフィンズ戦では9回のキャッチで138ヤード、2TDをあげました。第12週のフィラデルフィア・イーグルス戦では13回のキャッチで149ヤード獲得、第15週のニューヨーク・ジェッツ戦ではキャリア初の1,000ヤード超えを果たしました。第16週のマイアミ・ドルフィンズとの再戦では、シーズン101個目のレシーブを記録してトロイ・ブラウンが2001年に作ったチーム記録に並びました。最終週のニューヨーク・ジャイアンツ戦では11回のキャッチでチーム記録を更新、T・J・フーシュマンザーデと並ぶNFLトップの112回のキャッチで1,175ヤード獲得、8TDでシーズンを終えました。この年、AP通信選出オールプロセカンドチームに選ばれましたが、プロボウルには選出されませんでした。

プレーオフ2試合では16回のキャッチで110ヤード、2TDをあげました。第42回スーパーボウルではスーパーボウル記録タイの11回のレシーブで103ヤードを獲得しましたが、試合は14-17で敗れました。

（以降、2015年の引退までと引退後の活動については、元のテキストを参考に詳細を記述してください。）

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