ウォッチマン (量販店)

ウォッチマン：かつて存在した専門量販店チェーンの盛衰

ウォッチマンは、かつて日本国内で展開していた専門量販店チェーンです。高級腕時計をはじめ、ブランドバッグ、宝飾品、家電製品、カメラ、ゴルフ用品など、幅広い商品を安価で販売していました。本社は愛知県名古屋市にありましたが、2006年までに全店舗が閉鎖またはチェーンから離脱し、その歴史に幕を閉じました。

特徴

ウォッチマンは、名古屋を拠点とするカメラ系量販店のアサヒドーカメラやトップカメラと並び、家電量販店の一角を担っていました。特に高級ブランド品の安売りチェーンとしては先駆け的な存在でした。アサヒドーカメラやトップカメラとは異なり、ウォッチマンは腕時計を主力商品としており、1990年4月期には売上の約4割を占めるほどでした。

アサヒドーカメラが地元密着型であったのに対し、ウォッチマンは全国展開を積極的に行いました。最盛期には北海道から九州地方にかけて約40店舗を展開し、在名局を中心にテレビCMなどの広告宣伝を活発に行っていました。特にテレビCMで使用された「信じる者は得をする信じられないこの値段ウォッチマン（時計カメラエトセトラ）自信満々ウォッチマン」という歌詞のオリジナルテーマソングは、多くの人々に記憶されています。

沿革

1982年、ナゴヤプラザホテル（以下「旧ウォッチマン」）が、ホテル内で時計の販売を始めたのがウォッチマンの始まりです。この1号店は非常に繁盛し、曜日によっては冷房が必要なほどだったと言われています。その後、店舗数を増やし、1989年7月には26店舗のチェーン店に成長しました。

1989年8月、旧ウォッチマンは豊田通商との合弁企業として「ウォッチマン」（以下「新ウォッチマン」）を設立し、チェーンを新ウォッチマンへ譲渡しました。旧ウォッチマンはその後、社名をナゴヤプラザホテルに戻しました。新ウォッチマンも積極的に店舗網を拡大し、1991年度には約40店舗、売上高310億円を達成しました。

しかし、その後、ヤマダ電機やビックカメラといった関東資本の大手家電量販店が中京地区に進出した影響を受け、売上が減少。1998年には店舗数が18にまで減少しました。この年、旧ウォッチマンの関係者が新ウォッチマンの経営から離れ、豊田通商の子会社となりました。2002年3月期には、75億円の債務超過に陥るなど、経営はさらに悪化していきました。

2004年5月には、新ウォッチマンの全株式がアセット・マネジャーズの企業再生ファンドに譲渡され、同時にウォッチマン・ホールディングスが設立されました。この年から店舗網は大幅に縮小され、2006年には本店（名古屋市）と三宮店を残すのみとなりました。売上高も2004年3月期の156億円から、2006年3月期には50億円へと激減。2006年7月、新ウォッチマンは債権者側から破産を申し立てられ、8月に倒産しました。この時、アセット・マネジャーズは既にウォッチマンとは無関係であると発表しています。

旧ウォッチマン

1972年 - 「ナゴヤプラザホテル」として設立。
1982年 - ウォッチマン1号店を開店し、専門量販店事業に進出。
1980年代 - 社名をナゴヤプラザホテルから「ウォッチマン」へ変更。
1989年
2月 - 豊田通商との共同出資により、香港に現地法人「豊通偉文有限公司」を設立。
4月 - 経営者らが「旭一シャイン工業」を買収し、傘下に収める。
8月 - 豊田通商との共同出資により新会社「ウォッチマン」を設立し、量販店事業を新会社へ譲渡。

新ウォッチマン

1989年8月 - 旧ウォッチマングループ（60%）と豊田通商（40%）の共同出資により設立。
1998年 - 豊田通商の出資比率が97%へ引き上げられる。
2002～2003年頃 - 豊田通商の100%子会社となる。
2004年5月 - 企業再生ファンド「ウォッチマン・ホールディングス」の100%子会社となる。
2005年3月 - ウォッチマン・ホールディングスが解散する。
2006年
3月～4月 - 取引銀行各行が同社に対する債権を債権買取会社へ売却。
6月 - 商品の差し押さえを受け、本店の営業が一部休止に追い込まれる。
7月 - 債権回収会社から破産を申し立てられる。
* 8月 - 破産手続開始決定を受け倒産。

その他

ウォッチマンは、テレビ番組とのコラボレーションも積極的に行っていました。CBCテレビの『ミックスパイください』のコーナーで、自社の商品が賞品として使われたり、東海テレビでは『ドラゴンボールZ』や『キテレツ大百科』のカウキャッチャーとしてCMが放映されていました。また、大阪進出時には、毎日放送などでCMを流していました。キャッチコピーは「自信マンマン、ウォッチマン」です。

ウォッチマンは一時、東京証券取引所・名古屋証券取引所両市場第1部での重複上場を計画していましたが、実現には至りませんでした。名古屋の本店跡地には現在、リゾートトラスト運営の「ホテルトラスティ名古屋栄」が建てられています。

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