ウォルター・J・オング

ウォルター・ジャクソン・オングについて

ウォルター・ジャクソン・オング（Walter Jackson Ong, S.J.、1912年11月30日 - 2003年8月12日）は、アメリカのイエズス会の司祭であり、英文学の教授、文化史や宗教史の研究者、哲学者として知られています。彼の研究の中心には、口承文化から文字文化への移行が文化や人間の意識にどのような影響を与えるかという問いがありました。特にオングは「口承性」と「文字化」が人間の思考やコミュニケーションの方式を根本的に変えることを示しました。

経歴

オングは1912年11月30日、ミズーリ州カンザスシティに生まれました。彼の父はウォルター・ジャクソン・オング（子と同名）、母はブランチェ・ユージニア・オングです。彼は1933年にロックハースト・カレッジからラテン語の学位（Bachelor of Arts）を取得し、1935年にはイエズス会に入会します。1946年にはカトリック教会の聖職者として叙階されました。

1940年にはセントルイス大学で英語学の修士号を取得し、その修士論文では詩人ジェラード・マンリ・ホプキンスのスプラング・リズムに関する研究を行い、指導教員にはまだ若手のマーシャル・マクルーハンがいました。さらに、哲学とカトリック神学についても修士に相当するリセンティエイトの学位を取得します。

1954年、ハーバード大学においてペトルス・ラムスとラミズムに関する博士論文を提出し、その後セントルイス大学で学ぶことになり、以降の30年間にわたって教鞭を執りました。1955年にはハーバード大学から英語学の博士号を取得しました。

オングは1963年にはフランス政府から教育功労章シュヴァリエを受け、高名な学者としての地位を確立します。また、1966年から1967年にかけてリンドン・ジョンソン大統領のもとでのホワイトハウス教育タスクフォースにも参加しました。

1978年には米国現代語学文学協会の会長に選出されました。彼は各地で積極的に講演を行い、さまざまな学問団体でも活躍しました。2003年にセントルイスで亡くなるまで、オングは生涯にわたって学問に貢献し続けました。

主な著書

オングの著作には、文化や意識の変遷に関する講義や論文が多く含まれています。例えば、1964年に行われたテリー講義の「The Presence of the Word」や、1979年のコーネル大学メッセンジャー講義「Fighting for Life」は、彼の研究のエッセンスが詰まっています。

さらに、オングの作品「Orality and Literacy: The Technologizing of the Word」は彼の代表的な著作であり、口承文化と文字文化の違いについて鋭い洞察を提供しています。この著作は11ヶ国語に翻訳されており、日本語版も出版されています。

オングの学問的貢献は、現代の文化研究や文学理論に大きな影響を与えています。特に、彼が提唱した「哲学的ターミニズム」という言葉は、言語とコミュニケーションの研究において重要な位置を占めています。

まとめ

ウォルター・ジャクソン・オングは、口承と文字化の移行がどのように文化や人間の意識に影響を与えるかを追求した学者です。彼の豊かな業績は、今日の文化研究や教育の中で生き続けており、今後も多くの研究者にインスピレーションを与え続けることでしょう。

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