ウォレス・コレクション

ロンドンの至宝：ウォレス・コレクション

ウォレス・コレクションは、イギリスの首都ロンドン、メリルボーン地区のマンチェスター・スクエアにある美術館です。15世紀から19世紀にかけて制作された、世界的に名高い絵画、装飾美術、そして武具のコレクションを誇り、その歴史と規模は他に類を見ません。

華麗なるコレクションの軌跡

この美術館の起源は、1800年から1870年にかけて生きた第4代ハートフォード侯爵リチャード・シーモア＝コンウェイの膨大な私設コレクションにあります。パリで育ち、ブローニュの森のバガテル城を住まいとしていた侯爵は、生涯をかけて美術品を収集し続けました。侯爵の死後、コレクションは非嫡出の息子であるリチャード・ウォレスに相続され、さらにウォレスの未亡人によって1897年、イギリス政府に寄贈されたのです。

1900年、マンチェスター・スクエアのハートフォードハウスで一般公開が開始され、現在もその建物とコレクションはほぼ当時のまま保存されています。コレクションは館外への貸し出しが一切許可されておらず、その貴重な品々は、この場所だけでしか鑑賞することができません。

驚異の5500点超：多様なコレクション

ウォレス・コレクションの収蔵品は実に5500点近くに及びます。特に、18世紀フランス絵画、セーブル焼、そして家具のコレクションは、その質と量の高さで世界的に知られています。

巨匠たちの競演：絵画コレクション

絵画コレクションは、ルネサンスから19世紀にかけてのヨーロッパ絵画を網羅しています。ティツィアーノ、レンブラント、ルーベンス、ヴァン・ダイクといった巨匠たちの作品に加え、カナレット、ブーシェ、ムリーリョ、ベラスケスなどの名作も多数所蔵。オランダ黄金時代やフランドル絵画、そして18世紀から19世紀のフランス絵画にも比類なき充実ぶりを誇ります。英国、イタリア、スペインの絵画も重要なコレクションです。

華麗なる装飾美術：多岐にわたる分野

絵画だけでなく、陶磁器、家具、武具、彫刻、ミニアチュールなど、多岐にわたる装飾美術品も豊富に展示されています。セーブル焼のコレクションは世界最大級を誇り、マヨルカ焼、ガラス工芸、ブロンズ彫刻、リモージュ焼など、中世からルネサンス期の作品も充実しています。

フランス家具の宝庫：金工品と家具部門

ウォレス・コレクションの家具コレクションは、世界でも屈指のフランス家具コレクションとして知られています。18世紀フランス家具を中心に、500点以上の家具、時計、鏡、金工細工、そしてアンドレ・シャルル・ブールなど名高い家具職人の作品を鑑賞することができます。ブール制作とされる家具は、コレクションのハイライトの一つです。

アクセスと情報

ウォレス・コレクションは、地下鉄ボンド・ストリート駅またはベイカー・ストリート駅から徒歩約8分の場所に位置し、セルフリッジ百貨店の裏手にあります。入場は無料で、非営利の公共団体として運営されています。近年、中庭にはガラス天井が設置され、レストランもオープンしました。

まとめ

ウォレス・コレクションは、絵画、装飾美術、武具を網羅した貴重なコレクションを誇る、ロンドンの隠れた名所です。無料ということもあり、気軽に世界レベルの美術作品に触れられる貴重な機会を提供しています。歴史と芸術を愛するすべての人々に、その魅力あふれる空間を訪れることを強くお勧めします。

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