ベイカー・ストリート駅

ベーカーストリート駅：ロンドンの地下を巡る歴史と多様な路線

ロンドン地下鉄の主要駅であるベーカーストリート駅は、その歴史と複雑な構造、そして周辺の観光名所から、ロンドンを訪れる人々にとって魅力的な場所となっています。5路線（サークル線、ハマースミス＆シティー線、メトロポリタン線、ベイカールー線、ジュビリー線）が発着するこの駅は、トラベルカード・ゾーン1に位置し、ベイカーストリートとメリルボーン・ロードの交差点近くに位置しています。

歴史：世界初の地下鉄から現代へ

ベーカーストリート駅の起源は1863年にまで遡ります。世界最初の地下鉄であるメトロポリタン鉄道の開業とともに誕生し、当初は現在のサークル線とハマースミス＆シティー線が乗り入れるプラットホームのみでした。その後、1868年にはメトロポリタン線用のプラットホームが追加され、ロンドン交通網の中核として発展を遂げてきました。

20世紀に入ると、駅の構造は幾度となく改築されました。現在のメトロポリタン線ホームは1925年ごろの改修によるもので、地下構造の一部も同時期に建築家Charles Clarkによって設計されたものです。1906年にはベーカー・ストリート・アンド・ウォータールー鉄道（現在のベイカールー線）が開業し、さらに1939年にはスタンモア支線が開通。1979年にはジュビリー線が加わり、現在の5路線体制が確立されました。

歴史の中で、ベーカーストリート駅は幾多の出来事を経験してきました。1973年には駅構内で爆弾が発見されるという事件もありましたが、幸い負傷者を出さずに済みました。

駅の構造：複雑な地下ネットワーク

ベーカーストリート駅は、10ものプラットホームを擁し、ロンドン地下鉄の中でも最も多くのホームを持つ駅として知られています。メトロポリタン線が4線、ベイカールー線とジュビリー線がそれぞれ2線、サークル線とハマースミス＆シティー線が2線を共有する複雑な構造となっています。

最古の部分であるサークル線とハマースミス＆シティー線のプラットホームは、1863年当時の面影を残しており、ホームに沿って飾られた古い設計図や写真からも歴史を感じることができます。メトロポリタン線は地上に近い掘割構造のホームを持ち、一部の列車はここで折り返しますが、多くの列車はアルドゲイト駅まで運行されます。ベイカールー線とジュビリー線は地下深くに位置し、対面乗り換えのレイアウトとなっています。

近隣の見どころ

ベーカーストリート駅周辺には、観光名所も数多く存在します。駅の外には、世界的に有名な架空の探偵、シャーロック・ホームズを記念した大きな像が設置されており、2005年にはアメリカのテレビ番組『アメージング・レース』でも紹介されました。また、近隣には王立音楽アカデミー、マダム・タッソー館、ロンドン・プラネタリウム、シャーロック・ホームズ・ミュージアムなどがあり、観光の拠点としても最適な場所です。

1980年代には、ベーカーストリート駅の最古の部分が1863年当時の外観に復元されるなど、歴史的建造物としての保存にも力が入っています。

路線と隣接駅

ベーカーストリート駅に乗り入れている路線と隣接駅は以下の通りです。

ベイカールー線: メリルボーン駅、リージェンツ・パーク駅
サークル線: エッジウェア・ロード駅、グレート・ポートランド・ストリート駅
ハマースミス＆シティー線: エッジウェア・ロード駅、グレート・ポートランド・ストリート駅
メトロポリタン線: フィンチリー・ロード駅、グレート・ポートランド・ストリート駅
* ジュビリー線: セント・ジョンズ・ウッド駅、ボンド・ストリート駅

ベーカーストリート駅は、ロンドンの地下を走る地下鉄網の中心的な存在であり、その歴史と複雑な構造、そして周辺の魅力的な観光名所は、訪れる人々に忘れられない体験を提供してくれるでしょう。

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