ウォレンサック

ウォレンサック（Wollensak Optical Co., ）は、アメリカ合衆国ニューヨーク州ロチェスターに拠点を置いていた、総合映像機器メーカーです。19世紀末から20世紀中盤にかけて、カメラ、レンズ、シャッター、テープレコーダー、双眼鏡など、幅広い製品を製造しました。

歴史

ウォレンサックの創業者であるアンドリュー・ウォレンサックは、1862年にドイツのヴィースバーデンで生まれました。その2年後には、弟のジョン・チャールズ・ウォレンサックも同じくヴィースバーデンで誕生しました。アンドリューは1882年にアメリカへ渡り、ボシュロム社に機械工として就職します。その後、1890年には職工長となり、シャッターの設計を始めました。弟のジョンは1886年にアメリカへ移住しています。

1899年、アンドリューは引退した醸造家スティーヴン・ローバーから資金援助を受け、弟のジョンとともに「ローバー&ウォレンサック」を設立し、会社を創業しました。1902年にはカメラレンズの製造を開始し、1905年にはロチェスター・レンズを買収するなど、事業を拡大しました。1909年には、同社の代表的な製品の一つである「オプティモシャッター」を開発し、その技術力を示しました。

1924年には、会社をロチェスターのハドソン通りに移転し、生産体制を強化しました。しかし、創業者である兄弟は相次いでこの世を去り、1933年にジョン・チャールズが、1936年にはアンドリューが亡くなりました。

その後、1953年にはリビア・カメラ（Revere Camera Company ）に買収され、1960年にはさらに3Mに買収されました。そして、1972年に、ウォレンサックは惜しまれつつも廃業しました。しかし、その技術と製品は、写真業界に大きな足跡を残しました。

製品一覧

ウォレンサックは、数多くのカメラ用レンズとシャッターを製造しました。

レンズ

オプター（Optar ）
ラプター（Raptar ）
ヴェリート（Verito ）
ヴェロスチグマット（Velostigmat ）

シャッター

アルファックス（Alphax ）
ベタックス（Betax ）
レギュラー（Regular ）
レグノ（Regno ）
スタジオ（Studio ）

これらの製品は、パイヤール=ボレックス、ボルシー、グラフレックス、小西本店、ポラロイド、ニューヨークライツなど、数多くのカメラメーカーに納入されました。

レンズの主な製品

ライカマウント

大判用レンズ
オプター
オプター135mmF4.7: 準広角レンズとして、スピードグラフィックの標準レンズに採用されました。コダックのエクター127mm F4.7ほど普及はしませんでしたが、狭い室内での撮影に適していました。
テレオプター380mmF5.6
ポートレート・シリーズA: ヴェリートの前身となるレンズで、焦点距離の表示はありません。F5で5×7in判まで対応していました。
ヴェリート: 2群4枚構成の軟焦点レンズで、高級軟焦点レンズとして長年使用されました。その人気から、安価な軟焦点レンズが「プアマンズ・ヴェリート」と表現されることもありました。旧型は色収差を利用したソフト効果を特徴としていましたが、1928年には非点収差を利用した設計に変更されました。カラー写真での撮影には新型が推奨されました。
ヴェリート8¾inF4
ヴェリート11½inF4
ヴェリート18inF4
ヴェリター: ヴェリートの改良版で、コーティングが施され、カラーの発色に優れていました。
ヴェリター14inF6

これらのレンズは、それぞれ異なる特性を持ち、多様な撮影ニーズに応えるものでした。特に、ヴェリートは軟焦点レンズの代表として、多くの写真家に愛用されました。

ウォレンサックは、その革新的な技術と製品で、写真業界に大きな貢献を果たしました。その歴史は、写真の発展とともに語り継がれています。

出典

参考文献

ルドルフ・キングスレーク著『写真レンズの歴史』朝日ソノラマ ISBN 4-257-12021-5
『クラシックカメラ専科No.23、名レンズを探せ!トプコン35mmレンズシャッター一眼レフの系譜』朝日ソノラマ
『クラシックカメラ専科No.29、モダンクラシック』朝日ソノラマ

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