ウォーカー・アート・センター

ウォーカー・アート・センターは、アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス市に位置する、近現代美術を専門とする美術館です。単なる美術館としての機能にとどまらず、演劇、ダンス、音楽の公演や映画上映も行う、総合的なアートセンターとしての役割を担っています。

歴史

その歴史は1879年に、製材業で成功を収めたトーマス・バーロウ・ウォーカーによって始まりました。彼は自身の邸宅の一部を「ウォーカー・ギャラリー」として開放し、近代ヨーロッパ絵画や中国陶磁などの美術コレクションを市民に無料で公開しました。これは、地域社会と芸術家への貢献を目的としたものでした。美術館は1927年に現在の場所に移転しました。

1930年代には、大恐慌の影響で経営難に陥りましたが、ミネソタ・アーツ・カウンシルの設立とともに公立美術館として再出発しました。アーツ・カウンシルは、公共事業促進局（WPA）の支援を受け、ギャラリーを「市民への教育機能を持った公立のアートセンター」へと再編しました。これが、ウォーカー・アート・センターの誕生へとつながります。

1940年代には、ギルバート・ウォーカー夫人の寄付によってパブロ・ピカソ、ヘンリー・ムーア、アルベルト・ジャコメッティといった現代美術の巨匠たちの作品を収集し、現代美術に焦点を当てたコレクションを充実させました。1960年代以降は、アンディ・ウォーホル、ロイ・リキテンスタイン、オノ・ヨーコ、ナムジュン・パイク、マシュー・バーニーなど、意欲的な現代美術家の作品を積極的に収蔵し、アメリカおよび世界の美術界をリードする美術館としての地位を確立しました。

ウォーカー・アート・センターは、設立当初の理念に基づき、展覧会やコレクションを通じて、地域住民を対象とした美術講座や教育プログラムを積極的に開催しています。芸術を通じた地域社会の形成、文化の発展、個人の成長に貢献することを目標としています。年間来場者数は全米でもトップクラスを誇ります。

施設

ウォーカー・アート・センターは、ミネアポリスのダウンタウン南西部に位置し、約69,000平方メートルの広大な敷地内に、美術館建築と公園が広がっています。1971年に竣工した北棟は、エドワード・ララビー・バーンズが設計しました。1999年から2005年にかけては、ヘルツォーク&ド・ムーロンの設計により拡張工事が行われ、展示スペースが倍増しました。拡張部分には、新しい展示室、レストラン、385席の劇場が設けられました。

また、ウォーカー・アート・センターとミネアポリス公園・レクリエーション委員会が共同で運営する、大規模な彫刻庭園であるミネアポリス彫刻庭園も併設されています。ミシェル・デヴィーニュが設計したこの庭園は、〈スプーンの橋とサクランボ〉などの有名な彫刻作品が展示されています。1992年には約44,500平方メートルに拡張され、さらに西側には約16,000平方メートルの拡張計画もあります。

ウォーカー・アート・センターは、その歴史、コレクション、教育プログラム、そして広大な施設を通じて、アメリカを代表する美術館の一つとして、国内外の多くの人々を魅了し続けています。

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