ウォーレン・ガットランド

ニュージーランド出身の著名なラグビー指導者、ウォーレン・ガットランド（Warren Gatland）は、1963年9月17日にハミルトンでこの世に生を受けた人物です。

彼の現役時代は、主にフッカーとしてプレーしました。ニュージーランド国内の強豪チームであるワイカトなどで活躍し、その才能は高く評価されていました。そして、ラグビーニュージーランド代表、通称「オールブラックス」にも選出され、国際舞台でのプレー経験も持っています。

選手としてのキャリアを終えた後、ガットランド氏は指導者の道へと転身しました。彼のコーチングキャリアは、アイルランド代表チームや、かつて自身が所属したワイカトなど、国内外の様々なチームでの経験から始まります。これらの場所で、彼は指導者としての手腕を着実に磨いていきました。

彼の指導者としての経歴において、最も長く、そして大きな足跡を残したのがウェールズ代表での期間です。2007年にウェールズ代表のヘッドコーチに就任すると、そこから2019年まで、実に10年以上にわたる長期政権を築き上げました。この間、彼の指揮の下でウェールズ代表は数々の国際試合で成果を上げ、チームのレベルアップに大きく貢献しました。多くの若手選手を育て、ウェールズラグビーの競争力を高めた人物として、彼はその名を知られています。

2019年にウェールズ代表のヘッドコーチを退任した後、ガットランド氏は故郷であるニュージーランドへ戻りました。彼はスーパーラグビーに所属する強豪チーム、チーフスのヘッドコーチに就任し、南半球のトップリーグで新たな挑戦を開始しました。

しかし、ウェールズラグビー協会は再び彼の経験と手腕を必要としました。そして2022年、ウォーレン・ガットランド氏は再びウェールズ代表のヘッドコーチとして招聘され、慣れ親しんだチームに戻ることになりました。これは彼にとって、ウェールズ代表での2度目の指揮となります。

この2度目のウェールズ代表での指揮期間は、非常に厳しいものとなりました。チームは成績が伸び悩み、特に2025年2月には、テストマッチで14連敗という、チーム史上でも稀に見る深刻な不振に陥ります。この結果、ウェールズ代表のワールドラグビーランキングは、統計が始まって以来過去最低となる12位にまで転落するという事態を招きました。

チームの低迷が続く中、2025年2月11日、ウェールズラグビー協会はウォーレン・ガットランド氏との間で協議を行い、双方合意の上で彼がウェールズ代表のヘッドコーチ職を退任することを発表しました。彼の2度目のウェールズ代表での指揮は、約2年という短い期間で終わりを迎えることとなりました。

ガットランド氏の家族にも、ラグビーの世界で活躍する人物がいます。彼の息子であるブリン・ガットランド氏もプロのラグビー選手であり、父がヘッドコーチを務めた経験のあるチーフスでプレーした後、現在は日本のラグビーリーグワンに所属する神戸スティーラーズで選手として活動しています。

ニュージーランド出身でありながら、特にウェールズ代表を長きにわたり率いた功績で知られるウォーレン・ガットランド氏。そのキャリアは、成功と近年の困難という両面を経験した波乱に満ちたものであり、ラグビー界における指導者の影響力と厳しさを同時に示しています。

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