ウォーワゴン

ウォーワゴン（War Wagon）

ウォーワゴンとは、戦闘に使用されることを目的とした頑丈な馬車のことを指します。この馬車は、内部で乗員が大砲や矢から身を守りながら、スリットから槍や弓、銃器を使用して敵に攻撃を行うことができる設計になっています。また、キャンプを囲む形で配置されることで、機動的な要塞としても機能しました。

このような馬車は、地域や時代によって異なる呼称があり、Wagon Fortやヴァーゲンブルク（Wagenburg）、洞屋车などの名前でも知られています。特にフス戦争では「ボゾバ ハラドバ」という名で親しまれ、戦術の一部として広く利用されました。

歴史

ウォーワゴンの起源は古く、最も古い文献記録は『漢書』に見られる紀元前119年の漢匈戦争の「武剛車」です。この記録によると、馬車が陣を構成する役割を持っていたことがわかります。また、紀元前1世紀の『ガリア戦記』にも馬を利用した陣地形成に関する記載があります。4世紀にはローマ軍の将校アンミアヌス・マルケリヌスが「AD carraginem」という馬車による陣形について詳細に述べています。これに関しては、歴史家たちがWagon Fortとして解釈しており、馬車が防衛の要として重要な役割を果たしていたことが伺えます。

古代の戦争においては、馬車は多くの防衛戦術に用いられ、カルカ河畔の戦いなどでも馬車を使った防御陣地が構築されていました。

バリエーション

Laager

南アフリカに起源を持つLaagerは、侵略者や猛獣から身を守るために馬車を円陣に整列させ、内側に牛や馬を囲い込む形で運用されました。この形態は、19世紀のアメリカにおいても開拓者たちが馬車を使って身を守るために用いた例があります。

Tabor

Taborはフス戦争に関連し、軍事拠点として設けられた馬車のことを指します。この馬車は、移動しながら武器や物資を運ぶ役割を持ったものであり、13世紀から20世紀にかけてヨーロッパの様々な軍隊によって使用されました。

車営

明の名将たちによって考案された車営は、対モンゴル騎兵を策略した防衛手段であり、火器を搭載した車両で円陣を組み、中央に小型火器部隊が配置される方式でした。

他の戦闘用の馬車

ウォーワゴン以外にも、様々な戦闘用の馬車が存在しました。

• - Testudo: ローマ軍の覆いで装甲化された破城槌のこと。
• - ゴウリャイ-ゴゥロト: ロシア軍が運用した移動式の盾台。
• - 木慢: 中国や日本で用いられた台車に盾を組み合わせた攻城兵器。
• - 亀甲車: 文禄の役時に加藤清正が製作した日本の攻城兵器。
• - 安神車: 日本で作られた装甲牛車。

これらの馬車は、ウォーワゴンに似た防御や攻撃の手段として機能し、戦闘におけるその有用性を証明しています。

以上がウォーワゴンに関する詳細な情報です。歴史を通じて様々な形で使用されてきたこの馬車は、戦術の進化と共に重要な役割を果たし続けました。

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