ウガンダ・タンザニア戦争

ウガンダ・タンザニア戦争の概要

ウガンダ・タンザニア戦争は、1978年から1979年までの間にウガンダとタンザニアの間で激しく展開された軍事衝突であり、特にウガンダ国内のイディ・アミン政権の崩壊に繋がる重要な出来事となりました。ウガンダではこの戦争を「解放戦争」と呼び、アミン政権の抑圧された人々にとっての希望の象徴としています。この戦争には、ムアンマル・アル＝カッザーフィー政権からの支援を受けたウガンダ軍や、続々と参戦するタンザニアの軍隊、さらにウガンダの反アミン勢力が関与しました。

戦争の背景

1970年代初頭、アミンがウガンダの権力を掌握した後、タンザニアとの間に緊張が高まりました。特に、アミンはタンザニアのリーダー、ジュリウス・ニエレレの支援を受けるウガンダ元大統領ミルトン・オボテを迫害し、彼から逃れた多くの人々がタンザニアに避難しました。そのため、両国間の関係は悪化し、1978年の初めにはウガンダがタンザニアのカゲラ地方への侵攻を計画しましたが、これは大失敗に終わりました。

逃げたアミンは、混乱した国内情勢を背景に、反乱軍からの攻撃を受ける事態に直面しました。1978年10月、政府の高官であるムスタファ・アドリシが重傷を負い、アミン派の軍隊は動揺しました。その一方で、反アミン勢力は団結を強め、タンザニアに対してウガンダ軍を攻撃する準備を整えていたのです。

戦争の展開

1978年10月、ウガンダはタンザニアに対して宣戦布告を実施しました。この宣戦がきっかけで、タンザニアは国民防衛軍を動員し、反撃に出ました。地元の反アミングループや国民兵がその後の戦闘で戦力として参加し、両国の軍隊は数週間で数万人規模に拡大しました。タンザニア軍はウガンダ軍に対して攻撃を開始し、瞬く間にアミン軍は退却を余儀なくされました。

リビアの支援を受けたウガンダ軍は、カチューシャロケット砲やT-54、T-55戦車などで武装した部隊を展開しましたが、戦線の維持は困難を極めました。特に、リビア軍の派遣はアミン政権にとっての重要な支えとなっていました。

一方、タンザニア軍は周到な戦略を立て、北から進軍を開始しました。最終的に、1979年4月にはカンパラが解放され、アミンはリビアに逃亡しました。その後、彼は数カ月でサウジアラビアに亡命し、ウガンダ国内はタンザニアの支援によって平和維持体制に入ることとなりました。

戦後の状況

戦争が終結した後、ウガンダではアミン政権の打倒を受けて、政治的な混乱が続きました。新たに権力を握ったユスフ・ルレは、1979年に大統領として就任しましたが、続いて起こった政治的対立から、ビナイサにその座は引き継がれました。1960年代から70年代にかけてのウガンダの政治は、旧体制を支持する勢力と新たな政権との間で熾烈な闘争を繰り広げることになりました。

一方、タンザニアはアフリカ統一機構の加盟国から批判を浴びましたが、アミン政権の残虐行為に対する世界的な非難の中で特例的に支持を受けていました。最終的に、タナザニアは平和維持のためにウガンダに留まり、新政権の安定を支援しました。

このように、ウガンダ・タンザニア戦争はアフリカの歴史の中でも特に注目すべき事件であり、その結果は現在の地域情勢にも影響を及ぼしています。

もう一度検索