ウクライナ北東部攻勢

ウクライナ北東部攻勢：チェルニーヒウ、スームィを巡る激戦

2022年、ロシアによるウクライナ侵攻において、北東部地域、特にチェルニーヒウ州とスームィ州は、ロシア軍とウクライナ軍の激しい戦闘の舞台となりました。この攻勢は、ロシア軍による大規模な侵攻作戦の一環であり、両州の支配を目的としていました。

攻勢の概要

ロシア軍は、チェルニーヒウ州とスームィ州、およびそれぞれの州都であるチェルニーヒウ市とスームィ市に対して大規模な攻勢を開始しました。チェルニーヒウ市は包囲され、スームィ州では、国境から近いコノトプ市がロシア軍に占領されるなど、各地で激しい戦闘が繰り広げられました。特に、スームィ市では、市街地での戦闘が激化し、ウクライナ軍と民兵はロシア軍に激しく抵抗しました。ウクライナ側の情報では、ロシア軍の戦車100台以上が破壊され、多数の兵士が拘束されたとされています。また、アフトゥイルカでも激しい戦闘が展開されました。

フレデリック・ケイガンは、3月4日の作戦評価で「スームィ軸は現在、キエフへのロシアの進撃路として最も成功し、危険である」と分析しました。その理由として、地形が平坦で人口が少なく、防御に適した場所が少ないため、機械化された部隊の進行が容易であることが挙げられました。

戦闘の経過

2月24日：チェルニーヒウへの攻撃はウクライナ軍によって撃退されましたが、コノトプ市は包囲されました。また、チュグエフ空軍基地がミサイル攻撃を受け、燃料貯蔵エリアやインフラが被害を受けました。

2月25日：ウクライナ軍はコノトプ市の支配権を失いました。一方、スームィ市ではロシア軍が一時撤退したとの情報も流れました。アフトゥイルカでは、BM-27ウラガンのミサイルが学校に直撃し、民間人に死傷者が出ましたが、ウクライナ軍の抵抗によりロシア軍は撤退しました。

2月26日：ウクライナ軍は、チェルニーヒウ市を占領しようとしたロシア軍を撃退したと主張しました。スームィ市では、ロシア軍が一時的に市の一部を占領しましたが、ウクライナ軍は日没までにロシア軍を市から追い出すことに成功しました。この日の戦闘で、スームィでは3人の民間人が犠牲になりました。

2月27日：チェルニーヒウ市中心部がミサイル攻撃を受け、ロシア軍は同市を完全に封鎖したと主張しました。また、スームィ方面へ進軍していたロシア軍の車両が民間車両を攻撃し、民間人の犠牲者が出ました。

2月28日：ロシア軍は、アフトゥイルカの石油貯蔵所を爆撃して破壊しました。また、アフトゥイルカの軍事基地に燃料気化爆弾が投下され、70人以上のウクライナ兵が死亡したと報じられました。

3月1日：チェルニーヒウ州知事は、チェルニーヒウ市への進入路に地雷が大量に埋められていると発表しました。また、アフトゥイルカの軍事基地へのロシア軍の砲撃により、70人以上のウクライナ兵が死亡したと報告されています。ウクライナ当局は、クルーティ村でロシア兵200人を殺害したと主張しました。

3月2日：コノトプ市当局はロシア軍と交渉し、市への軍の配備や交通妨害、ウクライナの旗の撤去などを行わないことで合意しました。その見返りとして、市当局は住民がロシア軍を攻撃しないことに同意しました。コノトプ市長は、この日、市を明け渡すことに同意しました。

3月3日：ロシア軍による地元の発電所への空爆により、アフトゥイルカ市では電力と暖房の供給が停止しました。スームィ州知事は、第27砲兵旅団の建物とスームィ州立大学軍事学部に砲撃があり、5人が負傷したと報告しました。また、市外への道路や橋が破壊され、スームィ市内で戦闘が続いたため、多くの留学生が閉じ込められました。Pamyatne村とKhoroshe Ozero村の間で小規模な衝突が発生し、ウクライナ軍はロシア兵200人を殺害したと主張しました。

3月6日：チェルニーヒウ地域の141の集落で停電が続いています。

攻勢の終結とその後

ウクライナ軍の激しい抵抗と、ロシア軍の補給線の問題などにより、ロシア軍は3月下旬から撤退を開始しました。これにより、チェルニーヒウ州とスームィ州はウクライナの支配下に回復しました。しかし、この攻勢による両州の被害は甚大であり、復興には長い時間を要することが予想されます。

この戦いは、ロシア軍の侵攻作戦における戦略上の重要な失敗を示唆するものであり、ウクライナ軍の粘り強い抵抗と、地元住民による支援が、ロシア軍の侵攻を阻止する上で重要な役割を果たしたことを示す事例となりました。

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