ウクライナ国家警察

ウクライナ国家警察（NPU）

ウクライナ国家警察（NPU）は、ウクライナ唯一の国営警察組織であり、しばしば「ポリツィヤ」（警察）と呼ばれます。2015年7月4日に、ペトロ・ポロシェンコ大統領による改革の一環として、旧警察組織ミリツィヤを刷新する形で創設されました。NPUは内務省の管轄下にあります。

歴史

創設以前

2015年7月3日以前、ウクライナの法執行は内務省が直接管理する民警（ミリツィヤ）によって行われていました。しかし、この組織は腐敗が蔓延していると広く認識されており、その改革は長年の課題でした。

ユーロマイダン後の改革

2013年から2014年のユーロマイダン運動とそれに続く革命後、改革の必要性がすべての政党で共有されました。2014年10月の議会選挙後、連立政権を構成した5つの政党は内務省の改革と新たな国家警察の創設を公約しました。アルセン・アバコフ内務大臣は警察官の数を16万人まで削減する計画を示し、改革は既存の国家自動車検査局（DAI）とキーウのパトロール隊の統合から始まりました。この新しい警察組織には、アメリカや日本を含む複数の国々から資金が提供されました。

新警察の誕生

キーウでの組織立ち上げのため、33,000名の応募者から選抜された2,000名の新人警察官が採用され、アメリカやカナダの警察官によって北米式の訓練を受けました。2015年7月2日には、最高議会が国家警察法を可決し、7月4日にキーウで新しい警邏警察が設置されました。これにより、民警はパトロール活動を停止し、その後、警邏警察はウクライナ全土に展開しました。国家警察は2015年9月2日に正式に発足しました。2015年9月下旬には、キーウに2,000人、ハルキウに800人、オデーサとリヴィウに1,700人の新人警察官が配属されました。当時の民警は152,000人規模で、依然として警察活動の大部分を担っていました。新警察の基本給は約400ドルと、民警の約3倍に設定され、汚職撲滅への取り組みの一環とされました。

ミリツィヤからNPUへ

2015年11月7日、国家警察法が施行され、新設された国家警察は正式にミリツィヤと交代しました。同日、ミリツィヤの残りの職員は国家警察の「臨時職員」とみなされ、年齢条件を満たし、再訓練を受けた場合にのみ、国家警察の一員となる資格が与えられました。この移行期間は2016年10月20日に終了し、この間に警察幹部の26%が解雇され、4,400人が降格し、同数が昇進しました。

ロシアの全面侵攻

2022年2月14日、国家警察はロシア軍の侵攻に対応するため戦闘準備態勢に入りました。警察と特殊部隊KORDはキーウ攻勢でロシア軍と直接戦闘を行いました。侵攻中、NPUは法と秩序の維持、避難民の支援、戦争犯罪の捜査、検問所の運営、潜入者や協力者の摘発などを行いました。2022年3月1日までに、17名の警察官が死亡、50名が負傷、2名が行方不明になりました。

用語

ウクライナ語の正しい警察官の単語は「ポリツィヤント」または「ポリツィイニー」です。ロシア語から来た「ポリツェイスィキー」は一般的ですが、専門家は「ポリツィヤント」または「ポリツィイニー」を使用することを推奨しています。一般的に、警察官への呼びかけには階級は用いられず、「パン」（男性）や「パニ」（女性）といった言葉が使われます。場合によっては、「オフィツェル」や「ポリツェイスィキー」といった修飾語が併用されることもあります。

組織と支局

NPUは、中央管理機関、州際地方機関、24州とキーウ市を代表する警察総局の3つの主要な組織構造を持っています。

中央管理機関

キーウに集中しており、総監官房、予防活動部、KORD部、国際警察協力部、組織分析支援部、情報分析支援部、法務部、人事部、広報課、内部監査課など多くの専門部署を有します。

州際地方機関

各地方に支部を設置でき、各州警察総局局長ではなく、総監に直属し、キーウから指揮監督を受けます。

各州・都市警察総局

地方の状況に応じて組織が異なりますが、典型的には局長、捜査課、取調係、刑事捜査課、人身売買警察課、予防活動課、KORD課などがあります。

地方（独立）部隊

捜査係、取調係、刑事警察係、特別警察班、予防係、警邏警察対応係、行政実施班、警察活動係などがあります。

地方（独立）警察係（室）

捜査室、取調班、刑事警察班、予防班、警邏警察対応班などがあります。

支援センター

一時留置場、特殊任務警察警邏部門、特殊任務警察戦闘部隊、訓練センター、警察犬センター、児童保護収容施設、護送部門戦闘部隊、音楽隊などが含まれます。

付属国立機関

ウクライナ国家警察下部組織補給センター、航空支援センター、警察官教育訓練センター、警邏警察学校、児童保養施設などが存在します。

階級構造

NPUの階級は幹部と下級官に分かれており、階級章も定められています。歴代総監は内務大臣が指名し、閣僚会議が認証します。

宣誓

2015年国家警察法第64条に基づき、警察官は特定の宣誓を行う必要があります。

装備

警察官は勤務状況を常時記録するカメラを装着しています。映像はソーシャルメディアやリアリティ番組で使用されることもあります。

乗物と武器

NPUは様々な種類の乗物や武器を保有しています。

警察の日

7月4日は国家警察の日として、警察官の業績を祝います。ミリツィヤによる法執行業務の停止と国家警察の創設、またキーウでの最初の宣誓を記念する日です。

問題

2020年1月から5月にかけて、警察官による犯罪が複数報告されており、財物強要、レイプ、殺人などの事件が含まれていました。

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