ウシノケグサ属

ウシノケグサ属（Festuca）について

ウシノケグサ属（学名：Festuca）は、イネ科に分類される植物の一群です。属名はラテン語で「草の茎」を意味する言葉に由来しています。

概要

ウシノケグサ属の植物は、円錐花序と呼ばれる独特な花の付き方をします。小穂には複数の両性花が含まれており、包穎（ほうえい）は先端が尖っていることが多いです。護穎（ごえい）は紙のような質感で、通常は5本の脈があり、背面は丸みを帯びています。ただし、まれに竜骨を持つものも存在します。芒（のぎ）は通常ありませんが、直立した芒を持つ種もあります。

これらの特徴を総合すると、円錐花序を持ち、小穂が多数の花から構成され、左右に扁平ではないものが、ウシノケグサ属の可能性が高いと判断できます。特に、護穎や基盤に毛がない場合は、その可能性がさらに高まります。しかし、例外も多く存在するため、注意が必要です。

ウシノケグサ属は、日本を含む温帯地域に広く分布しており、草地や川辺などでよく見られます。また、熱帯地域でも高山に生育する種があります。

利用

一部の種は魅力的な花序を持ちますが、一般的には青緑色や青灰色の葉を観賞するために栽培されます。多くの種が芝生や牧草として利用され、ロックガーデン、花壇、鉢植えなどにも用いられます。

主な種

日本には、在来種と帰化種を含めて、以下の様な種が見られます。

F. arundinacea　オニウシノケグサ
F. elatior　ヒロハウシノケグサ
F. extremiorientalis　オオトボシガラ
F. japonica　ヤマトボシガラ
F. megalura　オオナギナタガヤ
F. myuros　ナギナタガヤ
F. octoflora　ムラサキナギナタガヤ
F. ovina　ウシノケグサ
F. parvigluma　トボシガラ
F. rubra　オオウシノケグサ
F. takedana　タカネソモソモ


これらの他に、人間生活に関わりが深く、よく知られている種として以下のようなものがあります。

Festuca amethystyna
ヨーロッパ中東部原産の多年草で、高さ45cm、幅25cmほどに成長します。密な房状になるのが特徴です。
Festuca arundinacea（オニウシノケグサ）
ヨーロッパ原産の大型の多年草で、高さ50cmから200cmにもなります。北半球に広く分布し、日本でも各地で見られます。
Festuca eskia
ピレネー地方原産の多年草で、小山状に成長し高さ15cm、幅25cmほどのコンパクトな種類です。
Festuca glacialis
フランス、スペイン、ピレネー、アルプス原産の多年草で、小山状に密に叢生し高さ、幅ともに10cm程度です。
Festuca glauca
温帯地域原産の多年草で、高さ30cm、幅25cm程度に成長します。密に叢生する特徴があります。
Festuca valesiaca
ヨーロッパ中部原産の多年草で、変化の多い密な叢状になり、高さ50cm、幅45cm程度になります。

まとめ

ウシノケグサ属は、その多様な種と利用価値から、私たちの生活に密接に関わっている植物群です。葉の観賞価値だけでなく、芝生や牧草としての実用性も兼ね備えています。

参考文献

英国王立園芸協会『A-Z園芸植物百科事典』誠文堂新光社、2003年6月。ISBN 978-4416403006。
塚本洋太郎『園芸植物大事典』小学館、1994年3月。ISBN 978-4093051118。
佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他『日本の野生植物　草本I 単子葉植物』,(1982),平凡社
* 長田武正『日本のイネ科植物図譜（増補版）』,(1993),（平凡社）

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