ウシ亜科

ウシ亜科（Bovinae）

ウシ亜科は、哺乳綱鯨偶蹄目（クジラ偶蹄目）に分類されるウシ科を構成する主要な亜科の一つです。アフリカ、北アメリカ、ユーラシア、インドネシアといった広範な地域に生息しています。

形態

体サイズは種によって大きく異なり、アフリカスイギュウの最大個体では全長340cmに達するものもいます。肩の高さではガウルが最大で220cm、体重ではアジアスイギュウが1200kgを超える記録があります。形態的な特徴も様々で、初期に分岐したグループとされるニルガイ族やネジレツノレイヨウ族（ブッシュバック属など）は比較的きゃしゃな体つきをしていますが、ウシ族に属する動物たちは、がっしりとした胴体と頑丈で短い四肢を持つ傾向があります。

生態

ウシ亜科の動物は、主に森林環境に生息していますが、草原や高山帯など、多様な環境に適応している種も存在します。社会性にも幅があり、多くの種は単独で行動するか、数頭の小規模な群れを形成して生活します。しかし、アフリカスイギュウのように、非常に大規模な群れを作り生活する種も知られています。

食性はすべて植物食で、地上の草から木の葉、さらにはコケや地衣類まで、様々な植物を餌としています。繁殖形態は胎生であり、一度の出産で多くの場合、1頭の幼獣を産みます。

分類

ウシ亜科は大きく三つの系統群に分けられます。これらのグループのうち、最も早期に他の系統から枝分かれしたのがニルガイ族です。ニルガイ族にはニルガイやヨツヅノレイヨウなどが含まれます。残りのウシ族とネジレツノレイヨウ族は互いに近い関係にあり、姉妹群を形成していると考えられています。

ウシ族には、バイソン、ウシ（家畜牛の原種を含む）、ヤク、ガウル、バンテン、コープレイ、アジアスイギュウの仲間（アジアスイギュウ、アノア、ヤマアノア、ミンドロスイギュウ）、そしてアフリカスイギュウなどが含まれます。ネジレツノレイヨウ族には、イランドやブッシュバックの仲間（ニアラ、ボンゴ、クーズーなど）といった、らせん状またはねじれた角を持つレイヨウ類が多く属しています。

人間との関係

ウシ亜科の動物は、古くから人間と深い関わりを持ってきました。特に、すでに絶滅したオーロックスを家畜化したウシは、世界中で肉や乳を得るため、また皮革や労働力として利用されています。ヤクやアジアスイギュウなども、それぞれの地域において家畜として重要な役割を果たし、人々の生活を支えています。

一方で、野生のウシ亜科動物の多くは、人間活動の影響を受けています。森林伐採や開発による生息地の破壊、あるいは毛皮や角を目的とした過度な狩猟（乱獲）により、多くの野生種の個体数が減少しており、保全が重要な課題となっています。

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