ウシ族

ウシ族（Bovini）とは

ウシ族は、ウシ科ウシ亜科に属するグループで、その外見は一般的に「ウシ」を連想させるものです。特徴として、大型でがっしりとした体格、そしてこめかみに一対の角を持つことが挙げられます。ただし、角は短く曲がっていることが多い点が、レイヨウ（アンテロープ）類との違いです。レイヨウ類は、より小型で細身、そして長くまっすぐな角を持つ傾向があります。

ウシ族の多様性

ウシ族には、家畜化された種と野生種の両方が存在します。代表的な家畜種としては、ウシ、アジアスイギュウ、ヤク、ガウル、バンテンなどが挙げられます。これらの種は、食料、労働力、その他の資源として、古くから人間社会に貢献してきました。アメリカバイソンも、かつてはアメリカ先住民にとって、重要な食料源かつ生活資源でした。

呼称について

「ウシ」という言葉は、広義にはウシ族全体を指すことがあります。さらに広げて、ウシ亜科やウシ科全体を指すこともありますが、これには外見が大きく異なる種も含まれてしまうため、限定的な用法と言えるでしょう。

「バッファロー」という言葉は、本来はアジアスイギュウを指すものですが、ウシ族の様々な種、特にアメリカバイソンを指す呼称として広く使われています。アメリカ合衆国やカナダでは、特にアメリカバイソンを「バッファロー」と呼ぶことが一般的です。

「ヤギュウ（野牛）」は、ウシ族の中でも野生の種を指す言葉です。ただし、「バッファロー」を「野牛」と訳すことがあるため、家畜種であるアジアスイギュウを指すこともあります。

「スイギュウ（水牛）」は、ウシ族の中でも水辺を好む種、特にアジアスイギュウ属とアフリカスイギュウ属を指します。しかし、「バッファロー」を「水牛」と訳す場合もあり、水辺を特に好まないアメリカバイソンを指すこともあります。

「レイヨウ（アンテロープ）」は、通常、ウシ族以外の種を指しますが、例外的に小型なサオラは「ベトナムレイヨウ」と呼ばれることがあります。

ウシ族の種

ウシ族は、以下の属と種に分類されます。

アジアスイギュウ属（Bubalus）
アジアスイギュウ亜属（Bubalus (Bubalus)）
アジアスイギュウ（スイギュウ、インドスイギュウ）： Bubalus bubalus (ほとんどが家畜化)
カラバオ： Bubalus carabanensis
タマラオ（フィリピンスイギュウ、ミンドロスイギュウ）： Bubalus mindorensis
アノア亜属（Bubalus (Anoa)）
マウンテンアノア（ヤマアノア）： Bubalus quarlesi
ローランドアノア（アノア）： Bubalus depressicornis
アフリカスイギュウ属（Syncerus）
アフリカスイギュウ（アフリカバッファロー、アフリカヤギュウ）： Syncerus caffer
ウシ属（Bos）
ウシ（家畜牛）： Bos taurus (オーロックスの家畜化)
オーロックス： Bos primigenius (絶滅)
ガウル（ガウア、セラダン、ガヤル）： Bos gaurus（一部家畜化）
コープレイ： Bos sauveli
バンテン（バリウシ）： Bos javanicus（一部家畜化）
ヤク： Bos mutus（ほとんどが家畜化）
クティンヴォアル属（Pseudonovibos）
クティンヴォアル： Pseudonovibos spiralis
バイソン属（Bison）
アメリカバイソン（アメリカバッファロー、アメリカヤギュウ）： Bison bison
ステップバイソン： Bison priscus (絶滅)
ヨーロッパバイソン（ヨーロッパヤギュウ、ヴィーゼント）： Bison bonasus
サオラ属（Pseudoryx）（サオラ族 Pseudorygini に分けることもある）
サオラ（ベトナムレイヨウ）： Pseudoryx nghetinhensis*

まとめ

ウシ族は、その多様性と人間社会への貢献度から、生物学的に重要なグループです。家畜種から野生種まで、それぞれの種が独自の生態を持ち、生態系の中で重要な役割を果たしています。この多様性を理解することは、生物多様性保全や持続可能な社会の構築において、非常に重要です。

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