ウズベキスタンの音楽

ウズベキスタンの音楽：伝統と現代の融合

ウズベキスタンの音楽は、複雑で奥深い歴史と多様な文化の影響を色濃く反映した、中央アジアを代表する音楽文化です。中東音楽との共通点も見られるその音楽は、複雑なリズムと拍子が特徴であり、古くから受け継がれてきた伝統音楽と、近年発展著しい現代音楽が共存する独特の音楽風景を形成しています。歴史的な出来事が音楽文化に大きな影響を与えてきた点も注目に値します。

伝統音楽：シャシュマカームと巨匠たち

ウズベキスタンは、16世紀にブハラやサマルカンドといった都市で生まれたとされるシャシュマカームという伝統音楽を誇ります。「6つのマカーム」を意味するこの音楽は、ペルシア音楽の影響を受けた、独特の旋法を用いた音楽体系です。スーフィズムの詩吟が音楽と織りなす独特の様式は、低音から高音へ、そして再び低音へと移り変わる独特な旋律を持ち、深い精神性を帯びています。

19世紀のロシアによる支配下においては、ロシアの音楽家が記譜法を導入するなど、伝統音楽の保存に貢献しました。しかし、ソビエト時代には一時、伝統音楽がラジオ放送から禁止される時期もありました。それでも、人々の間で脈々と受け継がれ、独立後のウズベキスタンでは、テレビやラジオで盛んに放送されるようになりました。

トゥルグン・アリマトフは、シャシュマカーム研究の第一人者であり、作曲家、タンブールやドゥタール奏者としても知られるウズベキスタンを代表する国民的歌手です。彼の作品「Segah」、「Chorgoh」、「Buzruk」、「Navo」、「Tanovar」などは広く愛され、その音楽はウズベキスタン文化の象徴として世界に知られています。ムハンマドジャン・ミルザエフもまた、代表的な作曲家として「Bahor valsi」(春のワルツ)や「Sarvinoz」といった名曲を世に送り出しています。

一方で、シェラリ・ジュラエフは、現在最も人気と影響力を持つ歌手の1人ですが、政府との関係は良好ではなく、公共の場での演奏が禁止されています。彼は現在も結婚式や海外公演などで活躍しています。

近年では、ユルドゥス・ウスマノヴァやセヴァラ・ナザルハンといった歌手が、伝統音楽に現代的な要素を取り入れた新しいスタイルで世界的な注目を集めています。アザドベク・ナザルベコフは、伝統音楽と現代音楽を融合させた独自の音楽性を確立し、新しい世代にウズベキスタン音楽の魅力を伝えています。

現代音楽：ポップス、ロック、ラップの隆盛

1990年代以降、ウズベキスタンではポップミュージック、フォークソング、ロックが急速に発展しました。シャフゾーダやソグディアナといった人気歌手は、国内にとどまらず、CIS諸国でも活躍しています。

ロック音楽はポップスほどの人気はないものの、ダフラーン・ガイポフやサハールといったアーティストがその発展に貢献しています。一方、若い世代を中心に人気を集めているラップ音楽は、政府による検閲の対象にもなっています。

楽器とミュージシャン

ウズベキスタンには、ドゥタール、ルバーブ、タンブールなどの弦楽器、カルナイ、ナーイ、スルナイなどの管楽器、ダーイラ、ダヴール、ナガラなどの打楽器など、多様な伝統楽器が存在します。

数多くの著名なミュージシャン、作曲家がウズベキスタンを舞台に活躍しており、その音楽は国内外で高く評価されています。アブドゥルハシム・イスマイロフ、アリ・ババハノフ、ファフリディン・ウマロフ、ローラ・アスタノヴァ、そして前述のトゥルグン・アリマトフ、ムハンマドジャン・ミルザエフなど、それぞれの才能がウズベキスタン音楽の豊かな多様性を生み出しています。クラシック音楽分野では、ドミトリー・ヤノフ＝ヤノフスキー、ファリフ・ヤノフ＝ヤノフスキー、ミルサディク・タジイェフといった作曲家たちが重要な役割を果たしています。

数多くのバンドも存在し、アッバース、ボジャラル、ボララル、ダド、アイベク・ヴァ・ニガラ、サハール、セタラ、ヤッラなどは、それぞれの個性豊かな音楽でウズベキスタンの音楽シーンを彩っています。

ウズベキスタンの音楽は、伝統と現代が融合した、奥深く魅力的な音楽文化です。これからも、新たな才能と革新的な音楽が生まれることで、その音楽シーンはさらに発展を続けるでしょう。

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