サマルカンド

サマルカンド：シルクロードの青の都

サマルカンドは、中央アジア・ウズベキスタンに位置する歴史都市です。アムダリヤ川の支流であるザラフシャン川沿いに栄え、シルクロードの要衝として古くから東西交易の中心地として発展を遂げてきました。

魅惑の「青の都」

ステップ気候と地中海性気候の移行帯に位置するサマルカンドは、抜けるような青空と、モスクのラピスラズリを思わせる美しい青が特徴です。このため、「青の都」という魅力的な別名で呼ばれています。年間を通して寒暖差が激しく、夏は40度近くまで気温が上昇することもありますが、標高702mという立地のおかげで、ウズベキスタンの首都タシュケントよりは気温が和らぎ、朝晩は比較的過ごしやすい気候です。冬は寒さが厳しく、積雪することもあります。

悠久の歴史

紀元前10世紀頃には、イラン系民族のオアシス都市として既に存在していたと考えられています。紀元前4世紀には、ギリシャ史料にソグド人の都市「マラカンダ」として登場し、アレクサンドロス3世率いるマケドニア軍との戦いで知られています。

その後、サマルカンドは様々な勢力の支配下に入りました。中国の史書には「康国」として記録され、ソグディアナの中心都市として栄えました。712年にはイスラム教徒の支配下に置かれ、イスラム文化が根付き、759年にはイスラム世界初の製紙工場が建設されたという伝承も残っています。

サーマーン朝、カラハン朝、ホラズム・シャー朝など、幾多の王朝が興亡を繰り返す中で、サマルカンドはソグド人の商業活動によって繁栄を続けました。しかし1220年、チンギスカン率いるモンゴル軍の侵攻によって徹底的に破壊され、人口の大部分が犠牲となりました。この時の旧市街は、現在の市街地の北側にあるアフラシヤブの丘として知られています。

14世紀末から15世紀にかけては、ティムール朝の首都として再び黄金時代を迎えました。ティムールとその子孫の霊廟であるグーリ・アミール廟、壮麗なビービー・ハーヌム・モスク、そしてウルグ・ベク天文台など、数々の歴史的建造物が建設されました。これらの建築物は、ティムール朝の芸術と科学技術の高さを示す重要な遺産となっています。

ティムール朝滅亡後も、サマルカンドはウズベク系諸勢力の支配下にあり続け、中央アジアにおける重要な都市として機能しました。19世紀にはロシア帝国に併合され、ロシアの綿工業における原綿供給地として発展しました。ソ連時代にはウズベク・ソビエト社会主義共和国の首都を務めた時期もあります。

現代のサマルカンド

現在、サマルカンドはウズベキスタンの主要都市の一つであり、人口は約55万人です。機械、化学、綿花、絹、皮革などの工業が盛んに行われています。また、古くからの商業都市としての伝統を引き継ぎ、チョルスーバザールのような活気ある市場が今でも存在します。

サマルカンド国際空港や、タシュケントとを結ぶ高速鉄道アフラシャブ号など、交通網も整備されています。サマルカンド国立大学を始めとする高等教育機関も充実しており、多くの学生が学びに訪れています。

世界遺産

サマルカンドの歴史地区は、ユネスコの世界遺産に登録されています。レギスタン広場、シャーヒ・ズィンダ廟群、グーリ・アミール廟、ビービー・ハーヌム・モスク、ウルグ・ベク天文台など、数多くの歴史的建造物が観光客を魅了しています。これらの建造物は、イスラム建築の傑作として高く評価され、世界中から観光客が訪れる人気の観光地となっています。

日本との繋がり

近年では、サマルカンド外国語大学を中心に日本語学習者が増加しており、日本との交流も盛んになっています。2022年には、奈良市と姉妹都市提携を締結するなど、更なる発展が期待されています。吉田拓郎のアルバム『サマルカンド・ブルー』も、この都市の神秘的な魅力を伝える一助となっています。

サマルカンドは、シルクロードの歴史と文化を凝縮した、魅力あふれる都市です。歴史的建造物、活気あるバザール、そして美しい風景は、訪れる人々に忘れられない思い出を刻み込むでしょう。

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