ウデヘ

ウデヘ族について

ウデヘ族（ロシア語: Удэгейцы、英語: Udege）は、ツングース系民族の一群で、主にロシアの沿海州に位置するシホテアリン山脈の周辺に住んでいます。彼らは「ウデ」あるいは「ウデヘ」と自らを称し、かつては「ターズ」、「ナムンカ」、「キャカラ」といった異なる名称でも呼ばれていました。このキャカラという名称は、「大きな部族」を意味し、文献の中では間宮林蔵によって「キヤツカラ」と記されています。ターズと呼ばれる南部のグループは、中国語の「韃子」に由来しており、この名称はアムール川下流域の全ての先住民を指すものと考えられています。

居住地域

ウデヘ族は、沿海州北部の広い地域に分散して居住しており、移動生活を営む狩猟民です。彼らは森林動物の狩猟を生活の中心に据え、採取した高麗人参も交易品として重要な役割を果たしていました。現在、純粋なウデヘ集落は減少し、ロシア人との混血が進んでいますが、主要な集落として以下の4つが残っています：

• - アグズ村（人口144人）
• - クラースヌイ・ヤール村（人口400人）
• - グヴァシュギ村（人口160人）
• - アルセーニエヴォ村（人口50人）

特にクラースヌイ・ヤール村は、ソ連時代の少数民族の強制移住によって形成された村で、多様な民族が共存しています。

人口推移と主要言語

ウデヘ族の人口は20世紀を通じて変動しており、1960年代には約2,000人がロシアに居住しているとされますが、その内訳は次第に変わり、ウデヘ語を母語とする人々は急激に減少しています。1959年には73.1%のウデヘ人が母語としてウデヘ語を話していたのに対し、1989年にはわずか約4分の1にまで落ち込みました。

ウデヘ語は南方ツングース諸語に属し、いくつかの方言に分かれていますが文字化の試みは乏しく、日常的にはロシア語が主に使われています。近年では、教育におけるウデヘ語の地位が低下し、母語教育は選択科目としてのみ行われています。

歴史的背景

ウデヘ族の歴史は、周辺民族や文化との接触を伴い、多様な影響を受けてきました。清朝時代には満洲の影響を受け、また1860年にはロシア帝国の支配下に入りましたが、同時に中国商人の影響も色濃く残っていました。ウデヘ族は、資源の流通や交易において多くの役割を果たし、現代のウデヘ人もその名残として多くの文化的背景を持っています。

生業と文化

ウデヘ族の主な生業は狩猟で、彼らはアカシカやヘラジカなどを狙います。狩猟には独自の罠を用いることが特徴であり、その手法は伝承されています。精神文化やアニミズムも根強く、山や川、動植物に神聖さを見出し、世界観の中での位置づけが大きいです。また、シャーマニズムの影響を受けた伝承や儀式が行われ、死者の霊魂を送るためにシャーマンが重要な役割を果たします。

文化の側面では、ウデヘの伝統的衣装や生活様式が比較的良好に維持されていますが、精神面では言語の消失が課題となっています。また、20世紀のウデヘ族の文学も注目されており、アレクサンドル・カンチュガによる自伝的作品などが語られます。

現代の課題

しかし、ウデヘ族の伝統文化は近代化の波にさらされており、特にアルコール依存症や森林伐採の影響など、さまざまな社会問題が現代のウデヘ族に影を落としています。これらの課題に直面しつつも、彼らの文化や言語を維持し、次世代に伝えるための努力が続けられています。

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