ウマール・ウィラハディクスマ

ウマール・ウィラハディクスマ：インドネシアの元副大統領

ウマール・ウィラハディクスマ（1924年10月10日 - 2003年3月21日）は、インドネシアの第4代副大統領を務めた人物です。元軍人であり、陸軍参謀長を歴任。退役後は官界に進み、会計検査院長を経て副大統領に就任しました。敬虔なムスリムであり、清廉な政治家として広く知られています。

生い立ちと青少年期

1924年、オランダ植民地時代のジャワで、ジャワ貴族の家系に生まれました。ヨーロッパ人子弟向けの小学校、普通中学校でオランダ語による教育を受けました。太平洋戦争が始まり、日本軍がジャワを占領すると、青年団に選ばれ、リーダーとして訓練指導にあたりました。その後、郷土防衛義勇軍（PETA）に参加しています。インドネシア独立宣言後は、人民治安軍（TKR）に加わりました。

軍人としての経歴

独立戦争終結後、陸軍に残り、シリワンギ師団に長く所属しました。1948年の共産主義者蜂起（マディウン事件）鎮圧作戦や、スマトラで起こったインドネシア共和国革命政府 (PRRI) の反乱にも参加し、昇進を重ねました。シリワンギ師団司令官だったアブドゥル・ハリス・ナスティオンの副官を務めた時期もあります。

1959年には、ジャヤ師団の司令官に任命され、ジャカルタ周辺の治安維持を担当しました。

9月30日事件での役割

1965年の9月30日事件発生時、ジャヤ師団司令官として市内の治安状況を把握。将軍拉致の情報を得て、KOSTRAD司令官だったスハルトに事態を知らせ、協力を要請しました。スハルトの指揮下で反乱鎮圧作戦を支援し、ジャカルタの治安強化に尽力しました。事件後、インドネシア共産党 (PKI) への非難が高まると、9月30日運動粉砕行動連合 (KAP-GESTAPU) の結成を承認しました。

新体制下での活躍

9月30日事件でのスハルトへの協力が評価され、陸軍内で急速に昇進。KOSTRAD 司令官、陸軍副参謀長、陸軍参謀長を歴任しました。1973年に退役後は、国家会計検査院 (BPK) の議長に就任し、政府機関の公金支出を厳格に監査しました。

副大統領として

1983年、スハルト大統領によって副大統領に任命されました。その人事は予想外と見なされましたが、控えめな人柄ながらも各界から尊敬を集めました。副大統領として、汚職撲滅に尽力し、宗教の重要性を訴えました。地方の視察も頻繁に行い、政府の政策が人々に与える影響を直接確認しました。1988年に副大統領を退任。

退任後

アジア通貨危機後の政情不安の中、1998年5月20日には、スハルト大統領に辞任を勧告しました。

2003年3月21日、心臓と肺の疾患により死去しました。

家族

妻カルリナとの間に二人の娘がいました。甥のアグス・ウィラハディクスマも陸軍高官であり、KOSTRAD 司令官を務めています。

ウマール・ウィラハディクスマは、激動の時代にインドネシアの発展に貢献した人物として、記憶されるでしょう。

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