ウラジミル・レメック

ウラジミル・レメック氏は、1948年9月26日に旧チェコスロバキアで生まれた、元軍人、飛行士、そして政治家です。

彼はソビエト連邦の宇宙開発において、歴史に名を刻む存在となりました。ソ連以外の国籍を持つ人物として初めて宇宙空間に到達しただけでなく、ヨーロッパ大陸出身者としても初の宇宙飛行を成し遂げた人物です。

レメック氏は、現在のチェコ共和国南ボヘミア州の州都であるチェスケー・ブジェヨヴィツェで少年時代を過ごしました。1966年にチェコスロバキア人民軍に入隊し、軍人の道を歩み始めます。1970年にはコシツェ（現在のスロバキア）にある高等航空学校を卒業し、飛行士としての専門的な訓練を修了しました。卒業後は1972年まで、ズヴォレン（現在のスロバキア）の空軍部隊で勤務しました。さらに、1976年にはソ連へと渡り、ユーリイ・ガガーリン空軍アカデミーで学び、その教育課程を修了しました。

1976年末、彼はインターコスモスプログラムの一環として、宇宙飛行士の候補者に選ばれるという、大きな転機を迎えます。ソ連のガガーリン宇宙飛行士訓練センターで厳しい宇宙飛行に向けた訓練に励みました。

そして、1978年3月2日、レメック氏にとっての歴史的なミッションが始まりました。ソユーズ28号に搭乗し、軌道上の宇宙ステーション、サリュート6号への滞在を果たしたのです。この宇宙飛行は3月10日までの8日間行われました。このソユーズ28号のミッションこそが、ソ連の宇宙開発史上、初めて外国籍の宇宙飛行士が参加した飛行であり、レメック氏はそのパイオニアとなりました。

宇宙飛行の成功は高く評価され、レメック氏は1978年3月16日、ソ連邦英雄の称号とレーニン勲章を授与されました。

宇宙からの帰還後、彼は軍のキャリアを続けました。短期間、科学研究所の副所長を務めた後、チェコスロバキア人民軍政治総局に移りました。しかし、間もなく飛行勤務に戻ることを選び、再び空の世界に身を置きました。

1989年から1990年にかけてのビロード革命により共産党体制が崩壊すると、レメック氏は軍を離れることになります。その後、プラハにある航空・宇宙博物館の館長をしばらく務め、航空宇宙分野への関わりを保ちました。キャリアの幅を広げ、その後はロシアにおいて民間企業の代表を務めたり、駐モスクワのチェコ共和国大使館で通商代表として外交・経済分野で活動しました。

2004年には政界に進出します。ボヘミア・モラヴィア共産党の候補者として欧州議会議員に選出され、国際的な政治の舞台でも活動しました。

レメック氏には、その功績に対して多くの叙勲や栄誉が与えられています。旧チェコスロバキアからはチェコスロバキア社会主義共和国英雄の称号や、クレメント・ゴットワルト勲章、「祖国への奉仕に対する」メダルが贈られました。ソ連からもソ連邦英雄の称号とレーニン勲章を受章しています。また、科学分野への貢献も称えられ、チェコスロバキア科学アカデミー金メダルを受賞しています。

さらに、宇宙への貢献を記念して、小惑星(2552)レメックは彼の名にちなんで命名されました。

現在、ウラジミル・レメック氏はチェコ共和国の首都プラハに在住しています。

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