ウラディーミル・アシュケナージ

ウラディーミル・ダヴィドヴィチ・アシュケナージ 

ウラディーミル・ダヴィドヴィチ・アシュケナージは1937年7月6日、ソヴィエト連邦のゴーリキー（現ニジニ・ノヴゴロド）で音楽家の家庭に生まれました。父ダヴィッド・アシュケナージは軽音楽の演奏家であり、母は非ユダヤ系のロシア人です。彼は、その後アイスランド国籍を取得し、スイスに居住しています。アシュケナージは20世紀後半を代表するピアニストの一人として知られています。

音楽キャリアの始まり

アシュケナージは6歳の時にピアノを始め、8歳でモスクワ音楽院附属中央音楽学校に入学しました。9歳の時に彼の初演奏会がモスクワで開催され、1955年にはワルシャワでのショパン国際ピアノコンクールで2位を獲得するという早くも多くの注目を浴びました。この時の出来事は、アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリの辞退引き金になったことでも知られています。

その後、1956年のエリザベート王妃国際音楽コンクールでは優勝し、これが彼の国際的な名声を確立するきっかけとなりました。音楽院でも一流の教育を受け、卒業後は様々な国で演奏旅行を行いながら、EMIやメロディアから多くのレコードをリリースしました。

指揮者としての活動

1960年代からアシュケナージは指揮活動にも着手します。1963年にはソ連を離れ、ロンドンへ移住。彼の指揮者としてのキャリアは、1970年代に入ってから本格化し、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督としての地位を確立しました。彼は数多くのオーケストラと共演し、特にラフマニノフの作品に磨きがかかり、世に知られる存在となりました。

卓越した音楽性

アシュケナージのピアノ演奏は、テクニックに優れた洗練されたスタイルであり、特にショパンの作品に多く取り組んできました。音楽評論家からも高く評価されており、ショパンの「練習曲全集」などは彼の技術の高さを示す名録音として功名を誇っています。また、ラフマニノフの作品に対しても献身的で、彼の録音には特にピアノ協奏曲第3番があり、指揮者としても活動していることが注目されています。

私生活と家族

アシュケナージは妻との間に4人の子供がいます。長男はピアニストとして、次男はクラリネット奏者として活躍しており、家族での共演も多数あります。また、彼の妹も音楽家であり、音楽一家として知られています。現在彼はスイスに住んでおり、後進の指導にも力を入れています。

日本との関わり

アシュケナージは1965年に初めて日本を訪れて以来、頻繁に来日しており、NHK交響楽団の指揮を務めるなど、日本と深い関わりがあります。特に2007年にはアニメ映画「ピアノの森」にも関与し、幅広い音楽活動を展開してきました。

引退と未来

2020年には演奏活動からの引退を発表し、長い音楽キャリアの集大成として、後進の指導に力を入れるようになったアシュケナージ。その音楽への情熱は今後も多くの人々に受け継がれていくことでしょう。彼の功績や影響は、現在そして未来の音楽界にも大きな影響を及ぼし続けることでしょう。

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