ウルシー環礁

ウルシー環礁について

ウルシー環礁（ウルシーかんしょう、Ulithi Atoll）は、西太平洋に位置する美しい環礁で、カロリン諸島の東北端にあたります。ヤップ島から約100km東にあり、緯度10度、経度139度に位置しています。この場所は、時折「ウリシ環礁」や「ユリシ環礁」とも呼ばれています。

環礁の概要

ウルシー環礁は、北側にはラム島からヴェロップ島が東西に並び、南側にはソニグ島からピッグ島にかけて40の小島が点在しています。これら小島の合計面積は約4.5平方キロメートルです。環礁の東部は大きく開いており、ムガイ水道を介して中央のラグーンにアクセス可能です。ウルシー環礁は、全体で長さ30km、幅15kmの潟を囲み、潟を含めた面積は約548平方キロメートルに達し、世界で4番目に大きな環礁となっています。

現在、ウルシー環礁はミクロネシア連邦ヤップ州の管理下にあり、各島にはそれぞれ酋長が存在し、モグモグ島には全体の酋長がいるほか、観光客向けのリゾートホテルやガソリンスタンドも整備されています。近年の台風の影響でいくつかの暗礁が破壊されましたが、フィッシングやダイビングの人気スポットとして知られています。

環境問題と歴史的背景

ウルシー潟の海底には第二次世界大戦中に沈没した艦船が数隻存在し、日本の攻撃により環境に悪影響を及ぼした事例もありますが、アメリカ海軍は2003年に汚染物質を除去しました。

ウルシー環礁には、最初にヨーロッパ人が到達したのは1526年のことで、ポルトガルの探検家ディエゴ・ダ・ローシャによるものでした。戦争中、日本軍は悪化した戦況の中で潟を艦船の停泊地として利用しましたが、暗礁の影響で本格的な港としての機能は果たしていませんでした。1944年にアメリカ軍が攻撃を受けた後、日本軍は撤退し、米軍はその後、地域の重要な戦略基地として利用しました。

日本の特攻作戦

日本軍は特攻作戦を実施し、奇襲攻撃を仕掛けましたが、効果は限定的でした。戦後、アメリカの統治が続き、現在はヤップ州の一部として存在しています。

人口と交通

ウルシー環礁の人口は、主にファラロップ、アソール、モグモグ、フェダライの4島に集中しています。2000年時点での総人口は773人でした。人々は労働や学業のために他の地域へ移動することが一般的で、祝祭など特別なイベントがあると一時的に人口が増加することがあります。

交通に関しては、ファラロップ島には定期便があり、ヤップ州の運航する連絡船も利用できます。また、第二次世界大戦中に建設された臨時滑走路がファラロップ島に存在し、アメリカ軍の支援を受けました。

インフラと通信

今日では、モグモグ島とファラロップ島に電力供給設備があり、強風による影響を避けるために送電線は地下に埋設されています。通信インフラは衛星テレビやGSM方式の携帯電話サービスがあり、ヤップ本島との連絡は無線電話で行われています。

教育と地域の発展

ウルシー環礁にはヤップ州の公立高校も設置されていますが、その他の教育機関は乏しいのが現状です。地域の住民は、伝統的な文化を守りつつ、観光と漁業を活かした生活を営んでいます。ウルシー環礁はその独特な歴史と自然環境から、今でも多くの人々を魅了する魅力的な場所となっています。

もう一度検索