ウルトラ・マドンナ〜グレイテスト・ヒッツ

マドンナ『ウルトラ・マドンナ〜グレイテスト・ヒッツ』

『ウルトラ・マドンナ〜グレイテスト・ヒッツ』（The Immaculate Collection）は、1990年に発表されたマドンナ初のベスト・アルバムであり、彼女の通算8枚目のレコーディング作品です。このアルバムは、現在もなお売れ続けているロングセラーであり、全世界で3,000万枚以上の売り上げを記録、マドンナの作品の中で最大のヒット作となっています。

概要

このアルバムは、マドンナの80年代のヒット曲を網羅的に集めたものと言えます。しかし、単なるベスト盤というだけでなく、1990年のシングル「ヴォーグ」と、新曲「ジャスティファイ・マイ・ラヴ」「レスキュー・ミー」も収録されています。その結果、1982年から1990年までのマドンナのヒット曲を収録した、全17曲からなるグレイテスト・ヒッツ・アルバムとして完成しました。

ただし、彼女の80年代の全てのヒット曲が収録されているわけではありません。全米第1位を獲得した「フーズ・ザット・ガール」をはじめ、「コモーション」、「トゥルー・ブルー」などのトップ3入りを果たした大ヒット曲など、合計13曲のシングルは最終的に収録が見送られました。

なお、「ウルトラ・マドンナ」の続編と言えるグレイテスト・ヒッツ・アルバムとして、1991年から2001年のヒット曲をまとめた『グレイテスト・ヒッツ VOL.2』が存在します。

収録候補からカットされた楽曲

以下は、収録候補として挙がっていたものの、最終的にカットされた楽曲の例です。

Everybody (1982)
Burning Up (1983)
Angel (1985)
Dress You Up (1985)
True Blue (1986)
Who's That Girl (1987)
Causing a Commotion (1987)
Oh Father (1989)
Keep It Together (1989)
Hanky Panky (1990)

また、アルバムと同時に、『ベスト・ヒット・コレクション』（The Immaculate Collection）というタイトルのビデオクリップ集がVHSで発売され、1999年にはDVD化もされました。ただし、収録曲はCDとは異なっています。

アルバムタイトルの由来

アルバムの原題は、カトリック教会の教義である処女マリアの無原罪の御宿り（The Immaculate Conception）をもじった "The Immaculate Collection" です。『ライク・ア・プレイヤー』から「ブロンド・アンビション・ツアー」で取り扱われた宗教的なテーマの延長として、宗教団体およびバチカンからの非難に対する、皮肉を込めた返答という意味合いが込められています。

アルバム自体は "The Pope" に捧げられていますが、これは当時のローマ法王ヨハネ・パウロ2世ではなく、マドンナの弟であり、「ブロンド・アンビション・ツアー」の芸術監督を務めたクリストファー・チッコーネのことです。"The Pope" は、クリストファーの当時のニックネームでした。

Qサウンドとリミックス

アルバムの全17曲は、1990年に登場した三次元の仮想サラウンド技術であるQサウンド(QSound)でミックスされています。『ウルトラ・マドンナ』は、Qサウンドを導入した最初のアルバムの一つです。

新曲2曲を除いた全曲は、『ウルトラ・マドンナ』のために新しくアレンジされたリミックスが施されています。「ヴォーグ」で起用された音楽プロデューサー、シェップ・ペティボーンを筆頭に、マイケル・ハッチェンソン、日本人ミックス・エンジニアのGOH HOTODAがミキシングを担当しました。

CDの収録時間の制約から、ほとんどの原曲が短くカットされ、全体の長さは73分34秒に収められています。また、「ライク・ア・プレイヤー」や「エクスプレス・ユアセルフ」は原曲とは全く異なるダンス・バージョンとして生まれ変わり、「イントゥ・ザ・グルーヴ」もシェップ・ペティボーンによる『ユー・キャン・ダンス』収録の8分26秒にも及ぶダンス・バージョンを、改めてリミックスしたものが収録されています。

評価と商業的成功

新曲の「ジャスティファイ・マイ・ラヴ」と「レスキュー・ミー」は、両方ともシングルとしてリリースされ、Top10入りするヒットとなりました。特に、レニー・クラヴィッツと共作した「ジャスティファイ・マイ・ラヴ」は、過激なプロモーションビデオが放送禁止となるなど、大きな話題を呼び、全米1位を獲得しました。また、トラックに乗せて詞を朗読するという新しいスタイルを取り入れ、次作『エロティカ』へと繋がる楽曲となっています。

1990年代後半までに約2000万枚を売り上げ、『ウルトラ・マドンナ』はソロ・アーティストのベスト・アルバムの中で最も売れたアルバムとなりました。現在までに3000万枚を売り上げています。2006年には、英国レコード産業協会が、ソロ・アーティストによるアルバムとして、英国音楽史上最も売れたアルバムに認定しました。

また、英国のアルバム・チャートでは9週間連続で1位を獲得し、記録を打ち立てました。この記録は、アデルの『21』が2011年に塗り替えるまで、最長記録でした。

米音楽雑誌ブレンダーは、「ウルトラ・マドンナ」を「史上最も偉大な100のアメリカン・アルバム」の第1位に選びました。「ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500」においても、138位にランクインしています。

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