ウーラガン (航空機)

MD.450 ウーラガン (Ouragan)

MD.450ウーラガンは、フランスのダッソー・ブレゲー社が1949年に初飛行した、フランス初の国産実用ジェット戦闘機です。開発は1947年に始まり、当初ダッソー社の自費で進められましたが、翌年の1948年6月にフランス空軍から3機の発注を受けました。ウーラガンは、1951年12月から大規模生産が開始され、1954年までに約350機が製造されました。また、インドやイスラエルにも輸出され、それぞれの国での戦争にも投入されました。

設計と開発

第二次世界大戦中、フランスは空軍機設計の分野での成績が振るわなかったが、戦後、航空機設計者マルセル・ダッソーは国産機の開発に乗り出しました。政府もこの構想を支持し、1947年には設計が始まりました。ウーラガンは、サン＝クルーのダッソー社で製作され、開発は迅速に進みました。

初号機のM.D.450-01は1949年に初飛行し、ロールス・ロイス製のジェットエンジンを搭載していました。この機体は優れた速度と上昇性能を誇り、各種装備が追加されていく過程で、翼端増槽も実装されました。特に、この翼端増槽は後の機体にとって重要な装備となりました。

量産型は主に2つのバージョン、ニーン 102エンジンのM.D.450Aと、より軽量なニーン 104BエンジンのM.D.450Bがありました。操作感覚は良好でしたが、短い胴体が原因でスピンに陥るリスクもありました。ウーラガンは1952年にフランス空軍に就役し、パトルイユ・ド・フランスで使用される一方で、アルジェリアを想定した不整地運用型の開発も試みられました。

運用の歴史

フランス空軍では、ウーラガンは最初は前量産型が受注された後、量産が進んでいきました。戦闘機としての運用の一環で、飛行訓練や地上攻撃任務にも使用されました。1950年代初頭には、空軍の主力機として活躍しましたが、最終的にはダッソー社製のミステールシリーズに役割を譲ることになります。

インドでは、1953年に改良されたエンジンを搭載したウーラガンが納入され、主に地上攻撃任務や偵察に活躍しました。特に1962年の中印国境紛争では、重要な役割を果たしました。

イスラエル空軍では、エジプトのMiG-15に挑むべく、ウーラガンの運用が進められ、多くの実戦で活躍しました。第二次中東戦争等で地上攻撃任務に使用され、その後も1973年頃まで運用が続きました。

エルサルバドルも、サッカー戦争時にイスラエルからウーラガンを購入し、内戦で活躍しました。エルサルバドルでのウーラガン運用は、国土が狭いため戦闘半径や弾薬量の限界に迫るものでした。

派生型と関連機体

ウーラガンの派生機には、量産型の最初の50機のMD 450A、軽量エンジンのMD 450B、偵察機型のMD 450Rなどがあります。これらの機体は、各国の空軍で活用され、多種多様な実戦経験を有しています。

スペック

• - エンジン: ロールス・ロイス ニーン104B
• - 推力: 2,270kg
• - 全長: 10.74 m
• - 全幅: 13.16 m
• - 最大速度: 940 km/h
• - 武装: イスパノ・スイザ 20mm機関砲×4

展示機体

フランス国内やイスラエル、インド、エルサルバドルには、現存するウーラガンが展示されています。これらの機体は歴史的価値が高く、航空ファンにとって貴重な存在となっています。

ウーラガンの開発、運用を通じて、フランスの航空機産業は再生し、その後の航空機技術の進化にも大きく寄与しました。

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