エアフルト連合

エアフルト連合：ドイツ統一への挫折した試み

1848年革命の余波の中で、プロイセン王国はドイツにおける国民国家建設という野心的な目標を掲げました。その試みとして生まれたのが、エアフルト連合です。本稿では、エアフルト連合の成立から崩壊までの経緯、その背景にある政治的思惑、そしてドイツ統一という長年の課題におけるその位置づけを詳述します。

ドイツ統一への道：前史と課題

1848/49年のドイツ革命は、ドイツ諸侯国間の対立と統一への強い願望を浮き彫りにしました。フランクフルト国民議会で制定されたフランクフルト憲法は、自由主義的な色彩が強く、プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世はこれを拒否しました。彼は、より保守的な枠組みでの統一を望んでおり、また「ドイツ皇帝」の称号にも抵抗を示していました。

プロイセンは、革命鎮圧後、周辺諸侯に連邦国家への参加を呼びかけました。この計画は当初、「ドイツ国」の樹立を目指していましたが、主要な諸侯国の離反により、1850年2月には「連合」と名称変更されました。プロイセンの都市エアフルトで議会が開かれたことから「エアフルト連合」と呼ばれています。

エアフルト連合の構想：憲法と政治的駆け引き

エアフルト連合の憲法草案は、フランクフルト憲法をベースに保守的な修正が加えられていました。諸侯の権限を強化し、プロイセン王の権限も「皇帝」ではなく「連邦首班」とするなど、自由主義的な要素を抑制した内容でした。選挙制度も、フランクフルト憲法の普通選挙とは異なり、プロイセン式の三級選挙制を採用するなど、保守的な色彩を強めていました。

しかし、この憲法草案は、プロイセン国内の保守派からもリベラルすぎると批判され、プロイセン自身の積極的な推進体制は整いませんでした。1850年5月までに、憲法を承認したのは26邦中わずか12邦にとどまりました。

オーストリアとの対立と連合の崩壊

エアフルト連合の計画は、オーストリア帝国の強い反発を受けました。オーストリアは、ドイツにおける自らの主導権を維持しようとしており、ロシア帝国の支持も得て、プロイセンに圧力をかけました。このプロイセンとオーストリアの対立は、ヘッセン選帝侯国の内紛を契機に深刻化しました。

最終的に、1850年11月のオルミュッツ協定において、プロイセンはエアフルト連合を放棄し、旧来のドイツ同盟に復帰せざるを得ませんでした。これは、プロイセンによるドイツ統一の最初の試みが挫折したことを意味していました。

エアフルト連合の意義と歴史的評価

エアフルト連合は、ドイツ統一という歴史的課題において、重要な転換点となりました。この連合の失敗は、ドイツ統一が容易ではないことを示し、プロイセンの単独での統一は不可能であることを明確にしました。その後、プロイセンはビスマルクのもとで、オーストリアを排除した小ドイツ統一へと舵を切ることになります。エアフルト連合の経験は、その後のドイツ統一への道のりを考える上で重要な教訓となりました。

参考文献

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