エアポート・リムジンバス (仙台市)

仙台空港リムジンバス：仙台の空の玄関口を支えた高速バス

この記事では、かつて仙台空港と仙台市中心部を結んでいた仙台市交通局（仙台市営バス）の高速バス「エアポートリムジンバス」について、その歴史と概要を詳しく解説します。

運行開始から廃止までの軌跡

仙台空港リムジンバスは、1957年（昭和32年）に貸切運行として始まり、1965年（昭和40年）12月1日に乗合免許を取得し、正式な路線バスとして運行を開始しました。仙台市営バス唯一の高速バス路線であり、高い収益性を誇る黒字路線として、仙台市交通局からも重要な路線と位置づけられていました。飛行機の到着に合わせて仙台駅行きのバスを発車させるなど、利用者への利便性向上にも配慮していました。

運行開始当初から、路線経路の変更や改良が繰り返されました。仙台バイパスの開通に伴い経路変更が行われたり、ワンマン化、バスカードの導入、停留所の増減など、時代に合わせて変化を遂げてきました。1994年には仙台東部道路が開通したことで、大幅な経路変更が行われました。

しかし、2007年（平成19年）3月18日にJR仙台空港アクセス線が運行開始されたことに伴い、前日の3月17日をもって、長きに渡る市営バスによる運行は終了しました。これは、仙台空港アクセス線の開業によって、競合路線としての役割を終えたことによるものです。

多様な路線と運行形態

仙台空港線には、エアポートリムジンバス以外にも、一般路線として下増田経由の路線や、仙台空港と館腰駅を結ぶ路線が存在していました。下増田経由路線は後に名取市民バスに移管され、館腰駅路線は宮城交通、その後ミヤコーバスに移管されたのち、2010年に廃止となりました。

エアポートリムジンバスは、主要停留所に加え、朝夕の時間帯にはホテル宿泊客の利便性を考慮し、仙台市中心部を巡回するコースが設定されていました。複数のルートが設定され、利用客のニーズに対応していました。

廃止後とその後

市営バスによる運行が終了した後、愛子観光バスと東日本急行が新たな空港連絡バスの運行を開始しましたが、いずれも数年後に運行を廃止しました。その後、仙台空港アクセス線の混雑や、アクセス手段の確保の必要性から、2018年にタケヤ交通、2019年に仙台バスが新たな路線を運行開始。さらに、従来から運行されている岩沼市民バスも加わり、現在に至っています。

運行廃止となった市営バスの車両は、一部貸切バスとして活用された後、全て売却、もしくは廃車となりました。

まとめ

仙台空港リムジンバスは、半世紀以上にわたって仙台空港と市街地を繋ぐ重要な役割を担っていました。その歴史は、仙台市の発展と公共交通機関の変遷を象徴するものです。空港アクセス線の開業は、リムジンバスの廃止という結果を生みましたが、同時に新たな交通システムの構築を促し、現在に至る仙台空港へのアクセス環境を形成するきっかけとなりました。 リムジンバスの功績は、仙台市の歴史の中にしっかりと刻まれています。

参考文献

仙台市交通事業五〇年史（仙台市交通局）
わだち愛（うつ）くし - 仙台市営特急空港バス50年の記憶（日本バス友の会仙台）

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