エイタン (装輪装甲車)

エイタン（Eitan）について

エイタンは、イスラエル陸軍と国防省の協力のもとで開発された装輪式装甲兵員輸送車で、2016年にその姿を初めて公開しました。この車両は、長年にわたり運用されてきたM113装甲兵員輸送車の更新を目的としたもので、イスラエル軍にとって初めての本格的な装輪式装甲車にあたります。その名称「エイタン」は、ヘブライ語で「不動の」や「断固とした」という意味を持ち、無人航空機の一部にも同名の機種が存在します。

発展の背景

イスラエル国防軍は1970年代からアメリカ製のM113を多数導入し、以降様々なミッションで使用してきました。2014年のガザ侵攻作戦ではM113が対戦車ロケットに攻撃され、搭乗していた兵士7名が亡くなる事態が発生しました。この悲劇的な事件は、老朽化した装甲兵員輸送車の後継機の必要性を再認識させ、エイタンの開発を加速させる契機となりました。

エイタンは2016年8月に披露され、現代の8×8輪装甲車に見られるデザインを用いながらも、より高い防御力を追求した設計が特長です。具体的には、V字型の車体を持ち、浮航能力を考慮せず防御力を強化しています。また、先進的なアクティブ防護システム「トロフィーAPS」を装備する予定でもあります。これにより、エイタンは世界最高水準の防御力を誇る装輪式装甲車に位置付けられています。

柔軟なモジュール構造

M113の後継として設計されたエイタンは、モジュール構造を採用しており、異なる任務に応じて多様な派生車両を容易に開発することが可能です。兵員輸送型では、12.7mmのM2重機関銃を搭載した遠隔操作銃塔「ミニ・サムソン RCWS」が装備され、一方で歩兵戦闘車型では更に強力な30mmあるいは40mm機関砲を搭載した無人砲塔の導入が考えられています。エイタンの重量は約30～35トンに抑えられ、同じく配備されるナメル装甲兵員輸送車と比べて半分程度と軽量で、コストも同様に抑えられる見込みです。

一方、エイタンは乗員3名に加え、最大で12名の兵士を搭乗させることができます。これはM113と比べて増加しており、より効率的な兵員運用が可能となります。

高速移動と耐久性

エイタンは750hpを発揮するターボチャージド・ディーゼルエンジンを搭載し、時速90kmで移動することができます。これにより、従来の装軌式装甲兵員輸送車と比べて迅速に戦場に到達できる点が強調されています。また、空気圧中央制御システム（CTIS）やランフラットタイヤも装備され、全てのタイヤがパンクしても時速50kmで16km走行することが可能となっています。

配備予定

エイタンは、2018年頃からの量産と配備が予定されており、イスラエル国防軍の装備に新たな選択肢を提供することが期待されています。これにより、長年のM113の運用とその限界を乗り越える新たな時代が切り開かれることでしょう。

まとめ

新たな技術や構造を採用したエイタンは、現代の戦争における要件を満たすべく設計されており、イスラエル軍の運用に大きな影響を与える装備となることが予想されます。

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関連情報では、ナメルのような重装甲兵員輸送車とエイタンの並行運用が計画されており、これによりイスラエル軍の装甲戦力が強化されることでしょう。

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