エウドキア・ラスカリナ

エウドキア・ラスカリナ（1210/2年 - 1247年以降）は、ニカイア帝国の皇女であり、ゾフィー（Sophie）とも呼ばれました。父はニカイア皇帝テオドロス1世ラスカリス、母はアンナ・アンゲリナです。

生涯

エウドキアの生涯は、政略結婚に彩られています。最初にラテン皇帝ロベールとの婚約が持ち上がりましたが、コンスタンティノープル総主教によって阻止されました。その後、オーストリア公フリードリヒ2世と結婚しましたが、後に離婚。1230年以前には、アンソー・ド・カイユーと再婚しました。アンソー・ド・カイユーは、1237年から1238年までラテン帝国の摂政を務めています。

1247年、夫アンソー・ド・カイユーは、チョルルの町を東ローマ皇帝ヨハネス3世ドゥーカス・ヴァタツェスによる攻撃から守るため、エウドキアに保護を託しました。ヨハネス3世は、エウドキアの姉であるイレーネー・ラスカリナと結婚していました。

また、フリードリヒ2世との結婚に関する資料には、エウドキアがゾフィーの名で記録されています。

エウドキアの生涯から見えるもの

エウドキア・ラスカリナの生涯は、当時のニカイア帝国、そしてラテン帝国の政治情勢を色濃く反映しています。皇女という立場でありながら、政略結婚の道具として翻弄され、その人生は決して平穏なものではありませんでした。彼女の結婚は、帝国の勢力拡大や安定のために利用され、離婚や再婚も政治的な駆け引きの結果であったと考えられます。

また、姉であるイレーネー・ラスカリナが東ローマ皇帝と結婚したことで、エウドキアの立場も複雑になったと考えられます。敵対する勢力との間で、彼女はどのように立ち回り、自らの意志を貫いたのでしょうか。史料は多くを語りませんが、彼女の生涯は、激動の時代を生きた皇女の苦悩と葛藤を物語っていると言えるでしょう。

エウドキア・ラスカリナは、歴史の表舞台に大きく登場することはありませんでしたが、彼女の存在は、当時の政治情勢を理解する上で重要な要素となります。政略結婚、帝国の対立、そして家族の絆。これらの要素が複雑に絡み合い、エウドキア・ラスカリナの生涯を形作っていったのです。

参考文献

Angold, Michael (2011). “The Latin Empire of Constantinople, 1204–1261: Marriage Strategies”. Identities and Allegiances in the Eastern Mediterranean after 1204. Farnham: Ashgate Publishing Limited. pp. 47–68. ISBN 9781409410980.
Ostrogorsky, George (1956). History of the Byzantine State. Oxford: Basil Blackwell.
* Perry, Guy (2013). John of Brienne: King of Jerusalem, Emperor of Constantinople, c. 1175–1237. Cambridge: Cambridge University Press. ISBN 9781107043107.

もう一度検索