アンナ・アンゲリナ

アンナ・アンゲリナ：激動の時代を生きた皇女

アンナ・アンゲリナ（1176年ごろ - 1200年）は、東ローマ帝国皇帝アレクシオス3世アンゲロスと皇后エウフロシネ・ドゥーカイナ・カマテラの娘として生まれました。彼女の生涯は、東ローマ帝国の衰退と、その後のニカイア帝国の成立という激動の時代を反映しています。

波乱に満ちた結婚生活

アンナは最初にイサキオス・コムネノス（皇帝マヌエル1世コムネノスの甥の子）と結婚し、一女テオドラ・アンゲリナをもうけました。しかし、結婚生活は長くは続きませんでした。1195年、父アレクシオス3世が皇帝の座につくと、夫イサキオスはワラキア＝ブルガリア反乱の鎮圧に派遣されます。不幸にもイサキオスは捕らえられ、ブルガリア人とワラキア派の人質となり、身代金をめぐる交渉の末、鎖に繋がれたまま亡くなりました。

夫の死後、アンナはニカイア帝国皇帝テオドロス1世ラスカリスと再婚します。結婚式は1200年初め、アンナの妹エイレーネーとアレクシオス・パレオロゴスの結婚式と同時に行われました。この結婚は、東ローマ帝国の権力構造に大きな影響を与えます。

アンナとテオドロス1世の間には、二男三女が生まれています。

イレーネー・ラスカリナ：最初の夫は将軍アンドロニコス・パレオロゴス。二度目の夫はニカエア皇帝ヨハネス3世ドゥーカス・ヴァタツェス
マリア・ラスカリナ：ハンガリー王ベーラ4世妃
エウドキア・ラスカリナ：オーストリア公フリードリヒ2世と結婚しましたが離婚。のちアンソー・ド・カイユーと結婚
ニコラス
ヨハネス

ニカイア帝国との関わり

アンナの二度目の結婚は、ニカイア帝国の成立と発展に重要な役割を果たしました。ニカイア帝国は、第4回十字軍によってコンスタンティノープルが陥落した後、東ローマ帝国の亡命政権として成立しました。テオドロス1世は、その初代皇帝として、帝国の再建に尽力しました。アンナは、その皇后として、政治的な影響力を行使し、帝国の安定に貢献しました。

アンナの子供たちは、ニカイア帝国の皇族として、重要な地位を占めました。特に、娘のイレーネーは、ヨハネス3世ドゥーカス・ヴァタツェスの妃となり、帝国の後継者問題に深く関与しました。

アンナ・アンゲリナは、激動の時代を生き、二つの帝国の興亡を見届けた女性でした。彼女の生涯は、東ローマ帝国の衰退と、ニカイア帝国の成立という歴史的な転換期を象徴しています。

参考文献

関連項目

アンゲロス王朝
* ニカイア帝国

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