エウノミア族

エウノミア族について

エウノミア族（エウノミアぞく）は、メインベルトの中部に位置する大規模な小惑星族であり、主にS型小惑星から構成されています。この族に属する小惑星は、メインベルト小惑星の中で約5%を占めており、その存在は天文学者たちにとっても特に注目されています。

エウノミア族の特徴

エウノミア族の中心的なメンバーである最大の小惑星は(15)エウノミアで、長径は約300km、平均直径は約250kmです。この小惑星は、その表層が母天体の破片から成り立っていると考えられています。推定では、元々の母天体は平均径約280kmの岩石質のものであり、衝突によって崩壊し、この族を形成したとされています。

興味深いことに、エウノミアの表層と族の他のメンバーのスペクトルにはばらつきが見られ、母天体がある程度まで分化していた可能性があります。さらに、衝突の前にも小規模な接触があり、約50kmの小惑星が22,000 km/hで衝突したと考えられています。

他のメンバーとその特性

エウノミア族には、エウノミアの周辺軌道に存在する他の小惑星も含まれています。次に大きいのは直径約65kmの(258)ティケですが、これはエウノミア族の端に位置するため、準メンバーとして扱われることが多いです。それに対し、サイズ30km程度の確実なメンバー小惑星も存在しています。

観測によると、エウノミア族の構成員はすべてS型小惑星であり、これらは主に岩石から成り、表層にはケイ素を含む化合物やニッケル、鉄が見受けられます。そのため、エウノミア族の小惑星は比較的明るくなっています。特に、この族に属する小型小惑星は多く、時間の経過とともに二次衝突やヤルコフスキー効果などによって散逸していくと考えられており、結果的にこの小惑星族は比較的新しいものとされます。

2000年には、土星探査機カッシーニがエウノミア族の小さな構成員である(2685)マサースキーをフライバイしましたが、最接近時でも100万km以上の距離があったため、詳細な表面観測はできませんでした。

軌道の特徴

エウノミア族は、木星との3:1または8:3の軌道共鳴が発生する位置にあたるため、高い軌道傾斜角を持っています。ZappalàによるHCM数値解析では、この小惑星族のコアメンバーの軌道が詳細に調査されており、1995年の解析では439個の小惑星がコアメンバーとして確認されています。さらに、2005年の調査では、全体の96944個の小惑星中4649個がこの族に属するとされ、メインベルトの約5%を占めることが示されています。

侵入小惑星

エウノミア族の軌道を共有しているものの、異なるスペクトルタイプを持ち、同じ衝突起源ではないと考えられる小惑星も存在します。これらは、調査によりS型小惑星ではないと判明し、例えば(85)イオ、(141)ルーメン、(546)ヘロディアス、(657)グンレード、(1094)シベリア、(1275)シンブリアなどが挙げられます。

このように、エウノミア族はその成り立ちや軌道特性、構成員の多様性から、天文学的研究の中で非常に興味深い対象となっています。

もう一度検索