母天体

流星群の起源：母天体とは何か

夜空を彩る流星群は、宇宙空間を漂う塵が地球の大気に高速で突入し、摩擦によって発光する現象です。これらの塵の発生源となる天体を、私たちは母天体と呼んでいます。

母天体の正体は、主に周期彗星です。彗星は、太陽に近づくにつれて表面の氷が蒸発し、ガスや塵を大量に放出します。この塵が彗星の軌道上に広がり、ダストトレイルと呼ばれる塵の帯を形成します。地球がダストトレイルと交差する際に、大量の塵が地球の大気に突入し、流星群として観測されるのです。

近年では、かつて彗星であったと考えられる小惑星も母天体となることが判明しています。これらの天体は、彗星活動を終え、揮発性物質を失ったと考えられています。そのため、小惑星が母天体となる流星群では、彗星由来の流星群と比べて、塵の量や流星出現の頻度に違いが見られることがあります。

母天体の種類と流星群の活動性

母天体の種類や軌道の状態によって、流星群の活動性が大きく変化します。

長期にわたって同じ軌道を周回する母天体: ダストトレイルは軌道全体に広がり、毎年安定した流星群を観測できます。例として、ふたご座[[流星群]]などが挙げられます。
比較的最近、現在の軌道を周回し始めた母天体: ダストトレイルは彗星の前後付近に集中し、地球がダストトレイルと交差するタイミングが限られます。そのため、活発な流星群が見られるのは、彗星が地球の軌道付近を通過する時期に限られます。ジャコビニ流星群やしし座流星群などがこの例です。

母天体の命名と流星群の命名

流星群の名前は、一般的に流星群の放射点となる星座名（例：しし座流星群）や近くの星の名前（例：みずがめ座η流星群）を用いて命名されます。これは、母天体が発見される前に、流星群が観測されていたためです。しかし、ジャコビニ流星群のように、母天体の名前で呼ばれる例外もあります。これは、母天体であるジャコビニ・ツィナー彗星が先に発見され、後にその彗星が放出した塵によって流星群が形成されていることがわかったためです。

複数の流星群を生む母天体

地球と彗星の軌道は最大2ヶ所で交わるため、1つの彗星が複数の流星群の母天体となることがあります。また、ダストトレイルの濃淡によっては、さらに多くの流星群が発生する可能性も考えられます。

代表的な母天体と流星群

以下に、代表的な母天体とその関連する流星群を示します。なお、しぶんぎ座[[流星群]]など、母天体が特定されていない流星群もあります。


このように、母天体の種類や活動性、そして地球との軌道関係によって、私たちが観測する流星群の規模や出現頻度が大きく変わるのです。これらの複雑な相互作用が、夜空の美しい天文ショーを生み出していると言えるでしょう。

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