エキシディ

エキシディ（Exidy）の歴史

エキシディは、1974年にラムテック（Ramtek）の元従業員ピート・カウフマンによって設立されたアーケードゲーム開発会社です。社名は「Excellence in Dynamics」の略であり、その名の通り、革新的なゲームを次々とリリースしました。同社は、アーケードゲームの黎明期からその成長を支えた主要企業の一つであり、数々の人気タイトルを世に送り出しました。

アーケードゲームの黎明期を彩った名作たち

エキシディは、数多くの個性的なアーケードゲームを開発しました。その中でも特に有名なのは、以下のようなタイトルです。

サーカス：シンプルながらも中毒性のあるゲーム性で人気を博しました。
デス・レース：自動車で人を轢き殺すという過激な内容が物議を醸し、世界初の非難を浴びたビデオゲームとなりました。しかし、その衝撃的な内容から、ゲーム史に名を残す作品ともなっています。
スターファイア：コクピット型の筐体で宇宙船を操り、スター・ウォーズを彷彿とさせる世界観が人気を集めました。
ターグ、スペクター：碁盤目状のステージで敵を撃破していく、戦略性の高いゲームです。
ベンチャー、ペッパーII、マウストラップ：それぞれ独自のゲーム性と魅力を持った人気タイトルです。

エキシディは、アタリなどの大手ゲーム会社との競争に苦戦しつつも、その革新的なゲーム開発能力で存在感を示しました。1983年には、「エキシディはイノベーターだが、公正な機会を得るための政治的な課題を克服するのに苦労している」と評されるほどでした。

論争を巻き起こした「デス・レース」

1976年にリリースされた「デス・レース」は、プレイヤーが車で人を轢き殺すという過激な内容で、大きな論争を巻き起こしました。その暴力的な描写は社会問題化し、ゲーム業界における倫理的な問題が浮き彫りになりました。しかし、この事件は、ゲームの表現の自由と社会的責任について考えるきっかけにもなりました。

その他のユニークなゲーム

1980年代には、トリビアゲーム「Fax」をリリースしました。これは、巨大な木製キャビネットに収められたマルチレベルゲームで、クイズに答える速さを競うというユニークなシステムが特徴でした。

1983年からは、ライトガンゲームに注力し、「Crossbow」などの人気タイトルをリリースしました。「Crossbow」は、画面上のNPCを狙う敵を撃退するという斬新な設定で、ライトガンゲームの新たな可能性を示しました。これらのゲームは、デジタルオーディオを全面的に採用した最初のゲームでもあります。

さらに、ベクトルグラフィックを用いた「Vertigo」や「Top Gunner」などのモーションキャビネットゲームも開発しました。これらのゲームは、当時の最先端技術を駆使した画期的な作品でした。

また、ソ連を舞台にしたドライビングゲーム「Top Secret」では、スパイカーを駆使して超兵器を破壊するというスリリングな展開が楽しめました。

経営難と終焉

エキシディは、1985年7月11日に連邦倒産法第11章の適用を申請し、事実上の倒産を迎えました。しかし、その後も事業を継続し、再建に向けて動き出しました。しかし、アメリカのゲーム情報サイト「Kotaku」は、1990年代にはすでに解散していたと指摘しています。

その後の動き

2006年には、Mean Hamster Softwareがエキシディのアーケードゲーム開発権を取得し、新たな展開を見せました。

2015年には、CollectorVision Gamesがエキシディの名前とロゴの権利を取得しました。

Exidy Sorcerer：パーソナルコンピュータ市場への参入

エキシディは、1978年に「Exidy Sorcerer」というパーソナルコンピュータで、パーソナルコンピュータ市場に参入しました。Sorcererは、S-100バスをベースとしたマシンでしたが、内部拡張システムは持っていませんでした。また、当時としては珍しく、1行あたり64文字のテキスト表示に対応していました。しかし、音や色、グラフィックのサポートはありませんでした。Sorcererは、北米ではあまり人気がありませんでしたが、オーストラリアやヨーロッパ、特にベルギーで人気を博しました。

First Star Softwareとの提携

1984年には、First Star Softwareからライセンスを受け、「Astro Chase」、「Flip and Flop」、「Bristles」、「Boulder Dash」などのゲームをMax-A-Flexアーケードシステム向けにリリースしました。

未公開のプロトタイプ

「Kreepy Krawlers」 (1979) や「Teeter Torture」(1982) などの未公開プロトタイプも存在します。

MAMEによる復刻

2007年以降、MAMEを通じて、エキシディのゲームが無料ダウンロード可能となりました。これにより、「Circus」、「Robot Bowl」、「Car Polo」、「Side Trak」、「Ripcord」、「Fire One」、「Crash」、「Star Fire」、「Star Fire II」、「Targ」、「Spectar」、「Hard Hat」、「Victory」、「Teeter Torture」、「Fax」、「Top Gunner」などの名作を再び楽しむことができるようになりました。

まとめ

エキシディは、革新的なゲームを次々と開発し、アーケードゲームの黎明期を彩った重要な企業です。そのゲームは、現在でも多くのファンに愛され続けており、ビデオゲーム史における重要な足跡を残しています。

参照資料

The Dot Eaters Article デス・レースとエキシディの歴史に関する記事
* エキシディ - メディア芸術データベース

外部リンク

The Dot Eaters Article
エキシディ - メディア芸術データベース

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