エクサン・プロヴァンス音楽祭

エクサン・プロヴァンス音楽祭は、フランス南部の美しい古都エクサン＝プロヴァンスで、毎年7月に開催される国際的な音楽祭です。この音楽祭は、オペラを中心に、管弦楽、室内楽、声楽、独奏など、幅広いジャンルの音楽を提供し、世界中から多くの音楽ファンやアーティストが集まります。

歴史

1948年に第1回が開催され、その初期にはヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのオペラ『コジ・ファン・トゥッテ』の上演が、フランス国内で大きな話題となりました。翌年には『ドン・ジョヴァンニ』が上演され、その成功により音楽祭の名声は確立されました。

1974年から1982年までは、ベルナール・ルフォールが総監督を務め、ベルカント・オペラが中心となりました。ジョアキーノ・ロッシーニ、ジュゼッペ・ヴェルディ、ガエターノ・ドニゼッティ、ヴィンチェンツォ・ベッリーニといったイタリアオペラの巨匠たちの作品が数多く上演され、モンセラート・カバリェ、ホセ・カレーラス、マリリン・ホーン、カーティア・リッチャレッリなど、ベルカント唱法の名歌手たちが多数出演しました。

1982年、ルイ・エルロが総監督に就任すると、音楽祭のレパートリーは大きく広がりました。バロック・オペラからベンジャミン・ブリテンやセルゲイ・プロコフィエフなどの現代オペラまで、幅広い時代の作品が取り上げられるようになりました。エルロはモーツァルトのオペラにも力を入れ、後期の作品だけでなく初期の作品も積極的に上演しました。この時期には、ジョン・エリオット・ガーディナー、ジャン＝クロード・マルゴワール、ルネ・ヤーコプス、ウィリアム・クリスティ、マルク・ミンコフスキ、クリストフ・ルセといったバロック音楽のスペシャリストたちが活躍し、音楽祭のレベルを大きく引き上げました。また、ライブ録音やテレビ中継も本格的に開始され、より多くの人々が音楽祭の演奏を楽しめるようになりました。

1998年にはステファヌ・リスネールが総監督に就任し、アルシュヴェシェ劇場の改装が行われ、新作オペラの委嘱も積極的に行われるようになりました。2007年からはベルナール・フォクルールが総監督を務め、音楽祭は新たな時代を迎えています。

主な演奏会場

音楽祭は、エクサン・プロヴァンスの様々な場所で開催されます。その中でも特に重要な会場は以下の通りです。

アルシュヴェシェ劇場: 旧大司教館の中庭に設けられた野外劇場で、音楽祭の主要な会場の一つです。
プロヴァンス大劇場: 2007年に完成した比較的新しい劇場で、大規模なオペラ公演などが行われます。
ジュー・ド・ポム劇場: 18世紀の劇場を改装したもので、室内楽や小規模なオペラ公演に適しています。
オテル・メニエル・ドゥ・ペドゥの中庭: 歴史的な建物の美しい中庭で、特別なコンサートが開催されます。
* サン・ジャン大劇場: 屋外劇場で、開放的な雰囲気の中で音楽を楽しむことができます。

エクサン・プロヴァンス音楽祭は、その長い歴史の中で、常に革新的な試みを行いながら、質の高い音楽を提供し続けています。過去の巨匠たちの作品から現代の新作まで、幅広いレパートリーを誇り、世界中の音楽ファンを魅了し続けています。音楽祭は、音楽の芸術的価値を追求すると同時に、地域社会との連携も重視しており、エクサン・プロヴァンスの文化的な魅力を世界に発信する重要な役割を担っています。

文献

Alain Gueulette: Le Festival d’Aix-en-Provence. Histoire mythologie, divas, renseignements pratiques. Éditions Sans, Paris 1989, ISBN 2-7107-0438-2

外部リンク

Festival d'Aix-en-Provence official website

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