エコー賞

エコー賞（ECHO）とは

エコー賞（Echo Music Prize、ECHO）は、ドイツで毎年開催されていた音楽賞です。ポップカテゴリーは3月、クラシックカテゴリーは10月に受賞者が発表されていました。この賞は、ドイツ・フォノ・アカデミー (Deutsche Phono-Akademie)が主催し、前年の売上に基づいて受賞者が決定されるという特徴がありました。

歴史

エコー賞は、1963年から1992年まで続いたドイツ・レコード賞の後継として、1992年に創設されました。長年にわたり、ドイツの音楽業界において重要な位置を占めていました。

賞の部門

エコー賞は、ポップ、クラシックなど、様々なジャンルに分かれており、特にポップカテゴリーには以下のような賞が存在しました。

ドイツ国内の部門

最優秀ドイツ男性アーティスト賞
最優秀ドイツ女性アーティスト賞
最優秀ドイツグループ賞
最優秀ドイツ新人賞
最優秀ドイツ楽曲賞

国際部門

最優秀国際男性アーティスト賞
最優秀国際女性アーティスト賞
最優秀国際グループ賞
最優秀国際新人賞
最優秀国際楽曲賞

その他の部門

最優秀楽曲賞
最優秀アルバム賞
名誉賞

批判と廃止

2018年、エコー賞は大きな転換期を迎えます。ポップスアルバム部門で最優秀賞を受賞したファリド・バンとコレガーのアルバムに収録された楽曲「0815」の歌詞が、反ユダヤ主義的であるとして世界中から強い批判を浴びました。問題となった歌詞は、「自分たちの筋肉はアウシュビッツの収容者よりもはっきりしている」という内容でした。

この騒動を受け、多くのアーティストが抗議のためにエコー賞を返上しました。マリウス・ミュラー＝ヴェスターハーゲンは過去に7回受賞した賞を全て返還し、他にもクリスティアン・ティーレマン、エノッホ・ツー・グッテンベルク、イゴール・レヴィット、クラウス・フォアマン、ノトス・カルテットなどが後に続きました。

エアバス社CEOのトム・エンダースは、この決定が「ドイツの国際的な評判」を傷つけると述べ、「反ユダヤ主義がドイツで再び受け入れられるようになるのか」と懸念を示しました。

これらの批判を受けて、エコー賞は2018年をもって廃止されることとなりました。

主な受賞者

エコー賞は、国内外の著名なアーティストに数多く授与されてきました。以下に、各部門の主な受賞者を記載します。

ドイツ国内の部門

男性アーティスト賞: ヘルベルト・グレーネマイヤー、マリウス・ミュラー＝ヴェスターンハーゲン、クサヴィア・ナイドー、ウド・リンデンベルクなど
女性アーティスト賞: ペー・ヴェルナー、サンドラ、ドロ、サブリナ・セトラー、サラ・コナー、ネーナ、イナ・ミュラーなど
グループ賞: スコーピオンズ、ディー・プリンツェン、ディー・トーテン・ホーゼン、プア、モダン・トーキングなど
新人賞: ペー・ヴェルナー、ディー・ファンタスティッシェン・フィーア、クサヴィア・ナイドー、ザシャ、レナ・マイヤー＝ラントルートなど
楽曲賞: スナップ!、ハダウェイ、ルシレクトリック、スキャットマン・ジョンなど

国際部門

男性アーティスト賞: フィル・コリンズ、マイケル・ジャクソン、ロビー・ウィリアムズ、エド・シーランなど
女性アーティスト賞: シェール、アニー・レノックス、マライア・キャリー、マドンナ、アデルなど
グループ賞: クイーン、ジェネシス、ピンク・フロイド、コールドプレイ、デペッシュ・モードなど
新人賞: アラニス・モリセット、スパイス・ガールズ、クリスティーナ・アギレラ、アヴリル・ラヴィーン、レディー・ガガなど
楽曲賞: レッドネックス、エンヤ、ラス・ケチャップなど

その他の部門

楽曲賞: オゾン、マドンナ、ジルバーモント、レディ・ガガ、アヴィーチーなど
アルバム賞: ヘルベルト・グレーネマイヤー、エイミー・ワインハウス、ペーター・フォックス、アデルなど
名誉賞: ウド・リンデンベルク、ラインハルト・メイ、ウド・ユルゲンス、ファルコなど

エコー賞は、その短い歴史の中で、ドイツ音楽界に大きな影響を与えましたが、反ユダヤ主義的な歌詞をめぐる論争により、その役割を終えることとなりました。

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