エサペッカ・ラッピ

エサペッカ・ラッピ：WRCを駆け抜けるフィンランドのスタードライバー

エサペッカ・ラッピは、フィンランドの小さな町ピエクサマキ出身のラリードライバーです。6歳からカートを始め、当初はF1ドライバーを目指していましたが、資金難からラリーに転向。持ち前の才能と類まれなドライビングテクニックで、短期間のうちに頭角を現し、WRCトップドライバーの仲間入りを果たしました。

華々しいキャリアの始まり：カートからラリーへの転身

幼少期からレーシングカートにのめり込み、フィンランドカート選手権で優勝するなど、早くから才能を開花させました。しかし、フォーミュラへのステップアップに必要な資金が不足したことが、彼をラリーという新たな道へと導きます。2009年、ホンダ・シビックType Rで本格的にラリー競技に参戦を開始。その後、ヤンネ・フェルムとの強力なコンビを結成し、2011年にはシトロエンC2 R2でWRCデビューを果たしました。

才能開花：数々のタイトルとチーム移籍

2012年にはフォード・フィエスタS2000でフィンランドラリー選手権を全勝優勝。その後、シュコダ・モータースポーツと契約し、ERCラリー・ポーランドで初参戦初優勝という快挙を成し遂げます。2013年から2016年にかけては、シュコダのワークスドライバーとしてERCやWRC2で活躍。特に2014年にはERCチャンピオンに、2016年にはWRC2チャンピオンに輝き、その実力を世界に知らしめました。この間、アジアパシフィックラリー選手権にも参戦し、総合2位を獲得するなど、国際舞台での経験を積みました。

WRC挑戦：トヨタ、シトロエン、Mスポーツでの活躍

2017年、トヨタと契約し、WRCに本格参戦。WRカーでの参戦2戦目となるラリー・イタリアでは、6つのステージでトップタイムを記録するなど、その速さを証明しました。そして、地元フィンランドでのWRC初優勝は、多くのファンを驚かせ、その名を世界に轟かせました。トヨタでの2年間を経て、2019年にはシトロエンに移籍。セバスチャン・オジェをチームメイトに迎え、激しいトップ争いを繰り広げました。シトロエンからの撤退後はMスポーツ・フォードに移籍。チームメイトにはカート時代の旧友であるテーム・スニネンが加わりました。Mスポーツでは表彰台獲得こそできませんでしたが、着実に経験を積み重ねました。

ヒョンデ時代：新たな挑戦と安定感の追求

2021年にはスポット参戦を経て、2022年にトヨタへ復帰。スウェーデンとフィンランド、そしてイープルで3位表彰台を獲得し、チームのタイトル獲得に貢献しました。しかし、レギュラーシートを求め、2023年にはヒョンデに移籍。開幕戦こそ精彩を欠きましたが、その後は安定した成績を残し、クロアチアとポルトガルで表彰台を獲得。サルディニアでは優勝こそ逃しましたが、チームメイトのヌービルと共に1-2フィニッシュに貢献しました。しかし、安定感には課題を残し、年間ランキングは6位に終わりました。2024年もヒョンデに留まり、スウェーデンでWRC通算2勝目を挙げました。実に6年半ぶり、そしてWRC史上最長のインターバルでの優勝となりました。

ラッピのドライビングスタイルと人となり

ラッピは、卓越したドライビングテクニックに加え、冷静なレース運びと高い分析力も持ち合わせています。レース前の手首高速回転という独特のルーティンや、「生きがい」という日本語を最初に覚えたエピソードなど、彼の個性的な一面も魅力です。また、カート時代からの友人であるスニネンとのチームメイト経験や、F1ドライバーのヘイキ・コバライネンとの交流など、人脈の広さも彼の成功の要因の一つでしょう。

未来への展望

多くのWRCチームを渡り歩き、数々のタイトルを獲得してきたラッピ。彼のキャリアは、常に挑戦と進化の連続です。今後、彼がWRCでどのような活躍を見せてくれるのか、目が離せません。 彼の経験と才能が、これからもWRCシーンを熱く盛り上げてくれることでしょう。

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