エジプトの政党

エジプトの政党制について

エジプトにおける政党制は、歴史的にさまざまな変遷を経てきました。1952年に起こった7月革命を契機に、エジプト・アラブ共和国の立憲制と多党制は廃止され、その後1962年にはアラブ社会主義連合（ASU）による一党制が導入されました。この一党制は、当初は国家の方向性を示すためのものでしたが、その後の政治的自由の制限を招くこととなります。

1977年には、サーダート大統領の下でASUが解体され、新たに複数政党制が再び導入されることとなりました。これにより政治は一時的に自由化されましたが、1978年から2011年のエジプト革命までの間、国民民主党が実質的な独裁政党として機能し、反対派の政治活動が抑圧されました。

2011年のエジプト革命の後、2012年の選挙では自由と公正党が上院と下院の第一党となりましたが、2014年には最高裁により解党され、政界は再び厳しい制限を受けることになりました。2021年の現状では、国民未来党が下院で過半数を占める一方、反対派の活動は厳しく抑圧されている状況です。

現在の主要政党

エジプトの主要な政党には以下のものが含まれており、それぞれ異なる背景と目的を持っています。

• - 国民未来党（Nation's Future Party）: 2014年に設立され、その後軍の意向に沿って成長。現在、両院で第一党としての地位を持っていますが、軍と大統領の強い影響下にあります。
• - 新ワフド党（New Wafd Party）: 1978年に結成された伝統的な政党ですが、近年の影響力は薄れています。
• - 国民統一進歩党（Progressive National Unionist Party）: 左翼政党で、1977年に設立されました。
• - ナセリスト党（Nasserist Party）: アラブの社会主義思想を掲げ、1992年に結成される。
• - 改革発展党（Reform and Development Party）: 2009年に設立。サダト元大統領の親族によって創立されました。
• - 自由党（Liberal Party）: 1977年に設立され、自由主義的立場を取っています。
• - ウンマ党（Umma Party）: 1983年に設立された政党。
• - エジプト・アラブ社会党（Egyptian Arab Socialist Party）: 1977年設立の社会主義政党。
• - 民主連合党（Democratic Union Party）: 1990年に設立。

このほかにも、エジプトには多くの政党が存在しますが、その中には活動が停止または解散したものもあります。

政治の多様性と挑戦

エジプトの政党制は、歴史の中で常に変化してきました。最近の選挙では国民未来党が優位ですが、反対派の声を圧迫している状況が続いています。一方で、ムスリム同胞団や共産党など、過去の影響力を持っていた政党も非合法化や活動停止に追い込まれており、エジプトの多様な政治環境は少々厳しい局面を迎えています。

歴史的には、エジプトの政党は市民の意見や要求を反映する役割を果たしてきましたが、現在の制約された状況の中で、それらの役割はますます難しくなっています。今後のエジプトの政党制がどう変わっていくのか、また市民社会がどのように反応するのか、注視が必要です。

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