自由と公正党

自由と公正党について

自由と公正党（じゆうこうせいとう）は、2011年から2014年までエジプトに存在した政党で、エジプトのムスリム同胞団が基盤となっています。本党の本部はカイロのローダ島にあり、党首にはムハンマド・サアド・カタートニーが、副党首にはイサーム・エル＝エリヤーンが就任していました。2011年のエジプト革命以降、急速に政治の舞台に登場しました。

設立の経緯

2011年2月21日、エジプトのムスリム同胞団は自由と公正党の結成を発表しましたが、正式な発足は同年6月6日でした。その後、2011年から2012年にかけて実施された人民議会（下院）選挙では、党が第一党として235議席を獲得しました。2012年1月から2月にはシューラー議会（上院）選挙も行われ、こちらでは105議席を獲得しています。

大統領選挙と政権への進出

2012年のエジプト大統領選挙において、当初は同胞団幹部のハイラト・シャーテルを擁立する予定でしたが、彼が失格となったため、党首のムハンマド・ムルシーが出馬しました。第一次投票で24.77％の支持を得てトップとなり、決選投票でも勝利を収めました。ムルシーの当選により、彼は数々の政治的役職から離れ、さらに同年8月に発足したヒシャーム・カンディール内閣には自由公正党から4人が閣僚として参加しました。

2012年10月19日には、党首の選挙が行われ、ムハンマド・サアド・エル＝カタートニーが選出されました。2013年1月の内閣改造時には、自由公正党の閣僚数が8人となり、党の影響力が顕著に明らかになりました。

クーデターと解散

しかし、2013年に発生したエジプトのクーデターにより、ムルシー政権は崩壊し、自由と公正党の幹部は拘束される事態に追い込まれました。さらに、2014年8月には最高裁判所が党を非合法化し、すべての議席を喪失、資産も没収されるという判断を下されました。

党の性質とは

自由と公正党が人民議会で獲得した235議席は、同党を中心としたエジプト民主連合によるもので、ナセル主義を基盤にした尊厳党や世俗主義の革命の明日党などと連携していました。選挙期間中には、ムスリム同胞団よりも厳格なサラフィー主義の候補に対してコプト教徒を支持する動きが見られたため、党の立ち位置には柔軟性がありました。このように、一般的に「イスラム原理主義」として見られがちな党であったが、実際はプラグマティックな面も持つことが示されています。

おわりに

自由と公正党は、エジプトの政治史において重要な役割を果たした政党であり、その歴史は短いものであるものの、非常に多くの波乱がありました。派生する政治的影響や成り立ちは、今後のエジプトの政局においても継続的に注目されるべきテーマです。

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