エジプト第25王朝

エジプト第25王朝とは

エジプト第25王朝（紀元前747年 - 紀元前656年）は古代エジプトの第3中間期に成立した王朝であり、クシュ人によってエジプトが統一されたことで知られています。この王朝は「クシュ朝」とも呼ばれ、約90年間にわたりエジプトを治めましたが、最終的にはアッシリアの圧力によってヌビアに追いやられることになりました。

歴史的背景

この王朝は、ヌビア地域においてエジプト文化が根付いている時代に誕生しました。新王国時代にエジプトがヌビアを支配した影響で、ヌビアの王たちはエジプトの文化を受け入れ、自らの王国をナパタに築くに至りました。特に、ナイル川第4急湍付近に位置するゲベル・バルカルは、「清純の山」と呼ばれ、その周辺に残る遺物はヌビア人がエジプトの文化を吸収していた証拠となります。

クシュ王国の成立

新王国の崩壊後、ヌビア人たちはナパタを都として独自の王国を形成しました。アメン神を信仰し、ヒエログリフを用いた記録を残すことで、彼らはエジプト風の文化を取り入れました。王アララとその兄弟カシュタが、上エジプトに影響力を及ぼしていくこととなります。

ピアンキの征服

ピアンキは、カシュタの子として知られ、エジプトへの進軍を果たしました。彼は当時のエジプトの分裂状況を利用し、上エジプトの地方支配者からの救援要請をもとに攻勢を強めました。まずテーベを占領し、アメンの神官団との関係を強化するために、自身の妹を「アメンの聖妻」として迎え入れました。

その後、ピアンキはヘラクレオポリスとヘルモポリスを次々に制圧し、エジプト全域を掌握しました。特にメンフィスの陥落は、彼の征服行為の重要な節目となり、以降の目標達成へとつながりました。

アッシリアとの対立

王ピアンキの死後、彼の息子シャバカがその後を継ぎ、エジプトの支配を続けましたが、外敵アッシリアの拡大が次第に影を落とすことになります。シャバタカ時代には、ヒゼキヤ王の反乱を受けて、エジプト軍はシリア方面に進軍するものの、アッシリア軍に敗北し、反乱は鎮圧されました。

その後のタハルカの治世では、アッシリアとの関係がさらに悪化し、ついに彼の治世の後期にはメンフィスが陥落し、タハルカは逃げのびることとなります。彼の頃になると、アッシリアの侵攻に対して激しい抵抗が続きましたが、次第に力が衰えダメージを受けていきました。

王朝の終焉

タハルカが没した後、彼の後継者タヌトアメンもまたアッシリアの圧力に直面します。彼は一時的に支配権を回復するものの、最終的にはアッシリアによって全エジプトが再度征服されることとなります。タヌトアメンの死をもって、エジプト第25王朝は滅亡し、ヌビア王国は存続しつつも別の歴史の流れへと突入します。

歴代王

1. アララ（前780年 - 前760年）
2. カシュタ（前760年 - 前747年）
3. ピアンキ（前747年 - 前716年）
4. シャバカ（前716年 - 前702年）
5. シャバタカ（前702年 - 前690年）
6. タハルカ（前690年 - 前664年）
7. タヌトアメン（前664年 - 前656年）

このように、エジプト第25王朝の歴史は、古代エジプトの豊かな文化と多様な力関係を反映した重要な時代であったと言えるでしょう。

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