エスト! エスト!! エスト!!! ディ・モンテフィアスコーネ

エスト! エスト!! エスト!!! ディ・モンテフィアスコーネ

「エスト! エスト!! エスト!!! ディ・モンテフィアスコーネ」は、イタリア中部のラツィオ州、ボルセーナ湖近郊のモンテフィアスコーネを中心に生産される、特徴的な名前を持つ白ワインです。このワインは、単に「エスト! エスト!! エスト!!!」とも呼ばれ、そのユニークな名前は、中世の聖職者の伝説に由来するとされています。

名称の由来

このワインの名前の由来は、12世紀にドイツ人司教が教皇に謁見するためローマへ向かう途中、最高のワインを探し求めたという物語に基づいています。司教は、従者に先立って各地のワインを試飲させ、良いワインを見つけた場所には「エスト」（ラテン語で「ある」の意）と書き記すように命じました。

モンテフィアスコーネの宿に立ち寄った際、その地のワインに感銘を受けた従者は、その素晴らしさを強調するため、宿の入口に「エスト! エスト!! エスト!!!」と書き残しました。この出来事が、ワインの名前の由来になったと伝えられています。

この伝説にはいくつかのバリエーションがあり、年代や登場人物が異なるものも存在します。しかし、いずれの物語にも、カトリックの司教が最高のワインを探し求め、モンテフィアスコーネのワインに深く感銘を受けたという共通の要素が含まれています。この物語は、ワインの評判を高める一方で、観光客を惹きつける役割も果たしていますが、歴史的な信憑性には疑問が残ります。

DOC認定

「エスト! エスト!! エスト!!! ディ・モンテフィアスコーネ」は、1966年にイタリアのワイン法によって原産地統制呼称（DOC）の認定を受けました。この認定により、ワインは特定の地域で栽培されたブドウのみを使用し、一定の基準を満たす必要があります。

DOCの規定では、ボルセーナ湖の南岸に位置するモンテフィアスコーネ周辺の限定された地域で栽培されたブドウが使用されます。具体的には、1ヘクタールあたり最大13トンの収穫量に制限され、ワインのアルコール度数は11%以上である必要があります。また、ブドウのブレンドには、トレッビアーノ種（地元ではプロカニコとして知られる）が65%以上、マルヴァジア・ビアンカ種が20%以上、ロッゼット種（地元ではトレッビアーノ・ジャッロとして知られる）が15%未満であることが求められます。

ワインの様式

このワインは、リンゴを思わせる穏やかな香りと、しっかりとした酸味が特徴です。主に辛口（ドライ）として製造されますが、やや甘口（アッボカート）のものも存在します。地元では、魚の揚げ物やアーティチョークの揚げ物などのローマ料理に合わせることが推奨されています。

主要な生産者の一つであるファレスコは、このワインを「世界的に知られる一般的なウンブリアの安価な白ワイン」と評しています。

批評

ワイン批評家の中には、「エスト! エスト!! エスト!!! ディ・モンテフィアスコーネ」を批判的に評価する人もいます。例えば、ヒュー・ジョンソンとジャンシス・ロビンソンは、このワインを「世界で最も面白い名前を持つ、最も退屈な白ワイン」と評しました。また、ジョー・バスティアニッチは、トスカーナワインと比較し、「グラスの中身よりも、その歴史の方が説得力がある」と述べています。

しかし、このワインがテレビドラマ『刑事コロンボ』に「最高のデザートワイン」として登場するなど、話題性もあり、地元では観光客向けに提供されることが多いです。

まとめ

「エスト! エスト!! エスト!!! ディ・モンテフィアスコーネ」は、その独特の名前と伝説的な由来を持つ、イタリアの個性的な白ワインです。批評家からの評価は分かれるものの、その歴史と味わいは、訪れる人々を魅了し続けています。

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