エスメラルダ (練習帆船)

エスメラルダ (Esmeralda, BE-43)

エスメラルダは、チリ海軍に所属する鉄製の4檣練習帆船であり、その驚異的な檣長により、世界で二番目に大きなバーケンティンとして知られています。この艦艇の歴史は波乱に満ちており、建造当初からの苦難と栄光のストーリーが展開されています。

建造の経緯

1946年にスペインのカディスで建造が始まった本船は、当初スペイン海軍の練習艦として設計されていました。しかし、1947年に発生した大規模な爆発事故により、カディス造船所は甚大な被害を受け、工事は一時中断されてしまいました。この事故によって造船所そのものが経営危機に直面し、エスメラルダの建造も長期間にわたって停滞しました。

1950年、スペイン政府はチリに対する債務返済の一環として、未完成のエスメラルダを含む工業製品提供を提案しました。この提案が受け入れられ、1951年にエスメラルダはチリ海軍の所有となることが決定されました。1953年5月12日には、5,000人もの観衆の前で進水し、翌年の1954年6月15日に正式にチリ政府へ引き渡されました。

チリへの航海

エスメラルダは、就役後にカナリア諸島を経由し、ニューオーリンズで蒸留装置を装備しました。その後、パナマ運河を通過し、1954年9月1日にチリの港町バルパライソに到着しました。大歓迎を受ける中で、エスメラルダはチリ海軍の練習帆船としての役割を担うことになりました。

国際的な活動

エスメラルダは、チリの「浮かぶ大使館」として、世界中の300以上の港を訪れ、多くのイベントにも参加しています。特に、歴史的な行事には多くの貢献を果たし、例えば、令和の即位礼正殿の儀や、2002年の海上自衛隊50周年記念観艦式、さらには1964年、1976年、1989年に開催されたニューヨークの帆船パレード、1983年の大阪での帆船パレードなどでの活躍が際立っています。この大阪での帆船パレードでは、大阪・バルパライソの姉妹港協定の調印が行われました。

歴史的な影響と事件

1975年には沖縄国際海洋博覧会の一環で日本に寄港した際、火炎瓶を投げつけられるテロ攻撃が発生し、乗員の2名が負傷する事件も起こっています（エスメラルダ号火炎瓶投擲事件）。また、ピノチェト政権下では監獄船として使われた過去もあり、これに関してはチリ海軍は公に認めない立場を取っています。

「エスメラルダ」という名前はエメラルドの意味を持ち、チリ海軍における同名の艦船は累代された6代目の艦で、初代はスペイン海軍から鹵獲した艦は、2代目も多くの戦歴を持つ艦艇として知られています。今後も、エスメラルダはチリの誇り高い象徴として、様々な舞台でその姿を見せ続けることでしょう。

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