エゾスカシユリ

エゾスカシユリについて

エゾスカシユリ（学名: Lilium pensylvanicum）は、ユリ科ユリ属に属する多年草の植物です。この花は、スカシユリに近い種類であり、場合によってはスカシユリ亜属と呼ばれることもあります。主に北海道、樺太、シベリア、中国北東部に自生し、花期は主に6月中旬から7月ごろにかけて見られます。特にその美しい橙色の花は、多くの人々の目を引く存在です。

特徴と生息地

エゾスカシユリは、草丈が約20cmから90cmほどであり、花は6枚の花びらから構成されています。その花びらには内側に濃橙色の斑点が見受けられ、根元部分が細くなっているために、花びらの間に隙間があります。この特徴が和名の「スカシ」に由来しています。また、道東や道北では、原生花園や様々な場所でこの美しい花を観察することができます。

特に、別海町の野付半島では、7月にエゾスカシユリの花畑でタンチョウの群れが見られることがあり、観光客やカメラマンにとって撮影の絶好のポイントとなっています。さらに、北海道の斜里郡小清水町と古宇郡泊村は、それぞれ町の花にエゾスカシユリを制定しています。

利用法

エゾスカシユリの鱗茎は、アイヌ料理において重要な食材として利用されています。秋に鱗茎を掘り出し、食べられない芯の部分を取り除いてから、鱗片をほぐして洗い、米と混ぜて炊くという調理法があります。このように、地域の伝統に根ざした利用法が存在します。鱗茎は、北海道西部のアイヌ語方言では「マサロルンペ」（masarorumpe）、北海道東部の方言では「イマキパラ」（imakipara）または「イマキパラプ」（imakiparap）、樺太の方言では「エノンカイ」（enonkay）と呼ばれています。同様に、クルマユリの鱗茎も食材として利用されています。

群生地

エゾスカシユリの群生地としては、日本国内で特に有名な場所がいくつか存在します。中でも、ワッカ原生花園は日本最大の群生地として知られています。他にも小清水原生花園や以久科原生花園などでその美しさを楽しむことができます。

切手での図案化

エゾスカシユリは、2004年に発行されたふるさと切手「北海道遺産II」において、ワッカ原生花園の代表的な花として大きく描かれています。このように、エゾスカシユリは地域の文化や自然遺産の象徴としても認識されています。

エゾスカシユリは、その見た目の美しさや独自の地域的な利用法から、北海道の自然や文化を象徴する植物であり、多くの人々に愛されています。

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