エッツタール

エッツタール（エッツ渓谷）

エッツタール（エッツ渓谷, Ötztal）は、オーストリア共和国チロル州に位置するアルプス山脈の谷であり、東アルプス最大の渓谷の一つとして知られています。

地理

エッツ渓谷は、北へ流れるエッツタール川に沿って形成されています。東はスチュバイアルプス、西はエッツタールアルプスに挟まれた場所に位置し、谷の長さは約65kmです。谷の北端はエッツタール川とイン川の合流地点であり、イムストから東へ8km、インスブルックから西へ50kmの地点にあたります。交通の便も良く、谷にはエッツタール駅という鉄道駅があり、インスブルックとブルーデンツを結ぶアールベルク鉄道が運行しています。また、欧州自動車道路E60号線のA12インターチェンジも利用可能です。

谷の南端はグルグラータール（グルグルの谷）と呼ばれ、イタリアとの国境地帯に位置します。アルプスの主脈によって形成されたこの谷には、多くの氷河とヴァイスクーゲルやジミラウンなどの高い峰々がそびえ立っています。エッツタールの最南端に位置するオーバーグルグルの村落は、オーストリアで最も標高の高い教区として知られています。

行政区分と産業

エッツタールは、北から順にザウテンス、エッツ、ウムハウゼン、レンゲンフェルト、ゼルデンの5つの基礎自治体から構成されています。この地域の主な産業は観光であり、特に登山家やスキーヤーに人気があります。エッツタールの高標高地域、具体的にはゼルデン、ホッホグルグル、ホッホゼルデンなどは、有名なスキーリゾート地となっています。また、ティンメルスヨッホを越えると、イタリア・ボルツァーノ自治県のパッシリーアの谷とメラーノに繋がります。

エッツターラー・グレチャーシュトラーセ

エッツターラー・グレチャーシュトラーセは、ヨーロッパで2番目に標高が高い舗装道路です。この道路はゼルデンからエッツタールアルプスにあるレッテンバッハ氷河やティーフェンバッハ氷河へと続いており、レッテンバッハ氷河では夏季でも氷河スキーを楽しむことができます。

アイスマン

1991年、この地で「アイスマン」として知られることになる、紀元前3300年頃のミイラが発見されました。発見場所はジミラウンのフィンアイルシュピッツェ近隣のシュナルスタール氷河付近で、ジミラウンヒュッテから徒歩約1時間の場所にアイスマンのモニュメントが建てられています。この発見は、エッツタールの歴史的価値をさらに高めるものとなりました。

エッツタールは、その美しい自然景観と多様なアクティビティ、そして歴史的な発見により、訪れる人々を魅了し続けています。

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