エティエンヌ2世 (ブロワ伯)

エティエンヌ2世アンリの生涯

エティエンヌ2世アンリ（1045年 - 1102年）は、中世フランスの有力貴族であり、ブロワ伯、シャトーダン伯、シャルトル伯、モー伯を歴任しました。さらに、サンセール、サン・フロランタンなどの領主も務め、広大な領地を統治しました。

生い立ちと家督相続

エティエンヌ2世は、ブロワ伯ティボー3世とガルザンド・ド・メーヌの息子として生まれました。父ティボー3世は1074年からエティエンヌに実質的な統治を任せ、1089年に父が亡くなると正式にブロワ伯を継承しました。

第1回十字軍への参加

エティエンヌ2世は、第1回十字軍の指導者の一人として名を馳せました。彼は妻であるアデル・ド・ノルマンディーに、十字軍の進捗状況を伝える手紙を頻繁に送っていました。1097年のニカイア攻囲戦では軍評議会の長を務めるなど、重要な役割を果たしました。
しかし、1098年のアンティオキア攻囲戦中に、聖地エルサレムへの道を切り開くという十字軍の誓いを果たすことなく帰国してしまいます。この帰国は、妻アデルの強い圧力によるものでした。

その後の十字軍と戦死

その後、エティエンヌ2世はアデルの圧力により、1101年の小規模な十字軍に参加しました。しかし、この遠征では途中で帰国する者も多く、彼はエルサレム王国に滞在することとなりました。1102年、ラムラの戦いでファーティマ朝軍と交戦し、57歳で戦死しました。

エティエンヌ2世の子女

エティエンヌ2世は、1080年にノルマンディー公兼イングランド王ウィリアム1世（征服王）の娘アデル・ド・ノルマンディーと結婚し、8人の子をもうけました。

子供たち

ギヨーム（1085年 - 1150年）：シュリー伯を継承しました。
ティボー（1090年/1095年 - 1152年）：ブロワ伯およびシャンパーニュ伯を継承しました。
ウード：夭折しました。
エティエンヌ（1096年頃 - 1154年）：ブローニュ伯となり、後にイングランド王スティーブンとして即位しました。
マティルドまたはリュシア＝マオ：チェスター伯リシャール・ダヴランシュと結婚しましたが、1120年にホワイトシップの遭難で水死しました。
アリックス（1100年頃 - 1145年）：ジョワニー伯ルノーと結婚しました。
アンリ（1096年頃 - 1171年）：ウィンチェスター司教となりました。
アンベール：夭折しました。

アデルの子ではないとされる子女

以下の子女はアデルの子ではないとされています。

アニェス：ユーグ3世・デュ・ピュイゼと結婚しました。
エレオノール（1147年没）：ヴェルマンドワ伯ラウル1世と結婚しましたが、後に婚姻は無効とされました。これは、フランス王妃アリエノール・ダキテーヌが妹ペトロニーユとラウル1世を結婚させるために教会に訴えたのが真相とされています。
* アデライード：ミロン2世・ド・モンレリと結婚しました。

庶子エマ

14世紀後半の情報によれば、エティエンヌにはエマという庶子がいたとされています。エマはアングロ・ノルマン貴族ハーバート・オブ・ウィンチェスターの妻であり、ヨーク大司教ウィリアムの母でした。しかし、近年の研究では彼女の異なる親子関係が示唆されています。

エティエンヌ2世アンリは、中世ヨーロッパの歴史において重要な役割を果たした人物であり、その子孫もまた、後の歴史に大きな影響を与えました。

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